◼️“静寂のカリスマ”が発揮された『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』

 『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』(2014年)は韓国では興行的には振るわなかったが、5年後の2019年に日本で公開され、高く評価された作品だ。

 北京の大学で北朝鮮学を教える教授(パク・ヘイル)が先輩の葬儀に出るため帰国し、ついでに寄った慶州で元カノと気まずいデートをしたり、街をぶらついたり、陰のある女性(シン・ミナ)とお茶や酒を飲んだりする話。

 強い意志や生気の感じられない役柄で、パク・ヘイル本来の持ち味である “静寂のカリスマ” ぶりが存分に発揮されている。劇場で観たあと、DVDで何度もその映像世界にひたりたくなる不思議な作品である。

映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』はパク・ヘイル&シン・ミナの美男美女コンビと慶州の古墳の美しい稜線も見もの。

写真提供:A PEOPLE ©2014, LU FILM & INVENT STONE

映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』の一場面 

写真提供:A PEOPLE ©2014, LU FILM & INVENT STONE

◼️最新主演作『別れる決心』はカンヌ国際映画祭監督賞&青龍映画賞7冠の傑作!

 最新主演作『別れる決心』で演じた、惚れてはならない容疑者(タン・ウェイ)に心を奪われてしまうという悩ましい刑事のキャラクターは、パク・ヘイルのはまり役。『オールド・ボーイ』以降のパク・チャヌク監督作品はかなりアクが強いのだが、この作品はいつものおどろおどろしさが抑えられていて、とても見やすかった。

 カンヌ国際映画祭で監督賞、青龍映画賞で7冠に輝いた本作で、さらに飛躍しそうな俳優パク・ヘイルだが、無理をせず自分のキャラに合った役柄を演じていってほしい。超一流ではなく一流の俳優として細く長く活躍するのが彼らしさだと思うからだ。