その後、『君の声が聞こえる』の脚本家パク・ヘリョンと、『ピノキオ』(2014~2015年)、『あなたが眠っている間に』(2017)で再タッグ。「イ・ジョンソクの演技は、シンプルで無駄がない。台本の解釈が正確なだけでなく、私の台本で十分に描くことができなかった部分を、想像を超える演技で補ってくれる、ありがたい俳優だ」と、パク作家からの信頼も厚い。

 この合間に『W-君と僕の世界-』(2016)に出演。このドラマでは、カリスマ性溢れる漫画の主人公カン・チョルを演じ、MBC演技大賞・大賞を受賞する“若手実力派”にまで成長した。

 そして、軍入隊前最後の作品となった『ロマンスは別冊付録』(2019)だ。幼い頃から“親しい姉と弟”として」接してきた男女のロマンスを描いた本作で、ジョンソクが演じたのは、『君の声が聞こえる』のスハ役以来となる“年下男子”ウノ。同じ一途でも、未完成な少年性とそのもどかしさが先に立ったスハとは異なり、社会的に成功したウノは、物質・精神面ともにヒロイン、ダナを保護する大人力を持つ。いつまでも弟扱いされる可愛さもあり、“大人なのに年下の魅力”も掛け合わさったウノは、年下男子の進化系として新鮮かつ魅力的だった。

『ロマンスは別冊付録』画像出典tvN

 そんな“ロマンス王子”イ・ジョンソクが、軍除隊復帰作となる『ビッグマウス』では、刑務所に咲く美しきヒーロー、パク・チャンホ役で新境地を開拓。俳優としての深みと、底なしの可能性を見せつけている。

『ビッグマウス』画像出典:MBC

 一方で、これまでのファンミーティングや試写会などで見せた“人間イ・ジョンソク”の素顔は、とても人懐こく愛らしい人、という印象だ。

 過去のファンミーティングでは、通訳が訳している間じっと見つめ、「いいなぁ、日本語が上手で……」と真顔で話したり(天然か?笑)、最後の曲を披露したあとに「普通ならここで退場するんですが、いずれにしてもアンコールがありますよね。このままアンコール曲を歌います!」と段取りを無視した自由な進行を展開したりと、周囲を笑わせるおもしろキャラクターの面も。あげく、みんなで歌うと楽しいから!という理由で、マネージャーやスタイリスト、SPまでステージに呼び込み、親しいスタッフみんなで尾崎豊の「I Love You」(韓国語ver)を大合唱するという一幕もあった。

 ファンサービスにも全力で応え、皆に愛されるのも納得のイ・ジョンソク。

『ビッグマウス』で共演したユン・ギュウォンは、「イ・ジョンソクさんを一言で表現するなら、“励ましをくれる人”。いつも僕を褒めてくれます。たとえば、「毎日カッコよくなりますね」とか。そんなことありえない!と思いながらも、その言葉にすごく励まされるんです!」と語っている。

 共演者やスタッフも一緒にいて、居心地がよくなってしまう人、それがイ・ジョンソクという人なのかもしれない。