――改めて、SBS演技大賞での大賞受賞、おめでとうございます。大賞受賞でのスピーチも非常に印象的でした。まさに犯人役を担った俳優がいなければ物語が成立しなかったと思います。韓国を震撼させた凶悪事件の犯人とドラマを通じて対峙した感想はいかがでしたでしょうか? また、犯人を演じた俳優たちに改めて伝えたいことがあるとしたら?

 ソン・ハヨンとしてではなく、キム・ナムギルとして犯罪者たちと対峙する状況だったら、多分僕は怒りで我を忘れて無慈悲な行動をするか、怖くて逃げていると思います。

 当時、悪役を演じた俳優たちがたくさん悩んだと聞きました。家庭がある俳優もいるし、子供がいる俳優もいたので、悪役を演じるのは簡単ではなかったと思います。彼らが俳優という名の下で、人物を表現するために、犯罪者の心情と行動をどのように表現するかを悩んでくれて、今でも本当にありがたいと感じますし、良い俳優たちだということを確認しました。作品を通して韓国に良い俳優たちが多いということを再認識しました。

――本作に出演を決めた理由を教えてください。

『熱血司祭』でご一緒したパク・ボラム監督に、メイン監督で携わる作品ができたら出演するという約束をしました。その作品が実在する人物の話だということが興味深かったですし、実際にあった殺人事件を背景に制作されるというところが魅力的でした。

 しかし、実際に起きた事件をベースにしているので、実在の被害者の家族にとって更なる被害や傷にならないかが心配でした。そういった意味で犯罪者に事情というものを作らせるなということを常に念頭に置いて作品に臨みました。

『悪の心を読む者たち』©SBS