Netflixで独占配信されている『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』が熱い。
本作は、高校時代に残酷ないじめを受けたことで夢を諦めたヒロインが、美しいまでに緻密な計画で加害者たちへ復讐を繰り広げていくサスペンス。冷酷で切ないストーリー、復讐者と加害者の張り詰めた緊張関係、個が立ったキャラクターが観る者を不思議な魅力で引き込み、全話配信後は連日視聴ランキング1位。日本でもSNSなど口コミで、その人気が広がっている。(記事全2回のうち前編)
★『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』ストーリー
建築家を夢見る女子高生ドンウン(ソン・ヘギョ)は、貧しいシングルマザーの娘という理由から同級生のいじめのターゲットとなり、退学に追い込まれる。心身ともに深い傷を負ったドンウンは、自分を地獄に追い込んだ加害者、教師を含めた傍観者への復讐を誓う。
やがて大人になり、小学校教師となったドンウンは、いじめのリーダー格、ヨンジン(イム・ジヨン)の一人娘イェソルの担任に。そして、十数年の時間をかけて綿密に練ってきた彼女の復讐劇が始まっていく。
■『シークレット・ガーデン』『太陽の末裔』『トッケビ』の脚本家キム・ウンスクが挑んだ復讐サスペンス
『ザ・グローリー』は、『パリの恋人』や『シークレット・ガーデン』、『太陽の末裔 Love Under The Sun』から『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』まで、韓国ドラマ史に燦然と輝く大ヒットを生み出してきた名脚本家キム・ウンスクが、“復讐”をテーマに初めて挑んだ作品だ。
気の利いた会話劇を得意とし、これまでも数々の名セリフを生み出してきた脚本家だが、本作でも、囲碁をたとえて「築き上げた家を奪えば勝つゲームなんて、美しいと思った」「私が囲碁を好きな本当の理由は、囲碁は沈黙の中で欲望をあらわにし、誘惑し、誘惑され、互いを丸裸にするから」といった絶妙なセリフを繰り出している。
キム・ウンスクが、本作を書くきっかけになったのは、高校2年になる娘との会話だった。
学校でのいじめや暴力について話した時、「私が誰かを殴るのと、私が殴られるのと、どっちが辛い?」と聞かれたキム作家は、少しの間だが、まるで生き地獄のように感じたという。さらに、こう語る。
「学校でいじめによる暴力を受けた被害者たちのインタビューもたくさん読みました。彼らは皆、物質的な補償はいらないが、心からの謝罪がほしいと言っていました。心からの謝罪で何を得ることができるのだろうかと考えた末、彼らの言葉の真意は何かを得るのではなく、何かを取り戻したいということだと気づいたのです。
いじめによる暴力を受けた時、彼らは尊厳や輝きといった、形では表せない大切な何かを失った。つまり心からの謝罪があれば、いじめによる暴力を受けなかった輝かしい時に戻れるのです。だから、『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』というタイトルにしました。(劇中で被害者であり復讐者となる)ドンウン、ヒョンナム、ヨジョンのような人たちを応援しているつもりです。何もなかった輝かしい頃に戻ってほしいのです」(キム作家)