ちなみに、アンナという名にも意味があるようだ。劇中、ロシア帝国最後の皇帝の末娘アナスタシアの名に由来すると、本物のアンナが語っている。アナスタシアは、1918年に17歳で銃殺された。だが、遺体が見つからなかったため、実は生き延びているという話が伝わり、自分がアナスタシアだという人物がたくさん現れたが、すべて偽物だった。
演出と脚本は、映画『エターナル』で商業映画デビューした女性監督イ・ジュヨン。『エターナル』は、巨匠イ・チャンドン監督の元で8ヵ月にわたりシナリオを練り上げたという。
『アンナ ディレクターズカット版』には、師弟関係ともいえるイ・チャンドン監督の傑作『バーニング 劇場版』の衝撃的なシーンのオマージュのような場面が用意されている。そのシーンを、『アンナ』では最初にもってきてしまっているのが、とても残念だ。
今年の百想芸術大賞の授賞式は4月28日。ペ・スジはもちろん、助演賞にノミネートされている『Pachinko パチンコ』のチョン・ウンチェや『賢い医師生活』のキム・ジュンハンも、クセのある役柄を好演していて素晴らしいのだが、とにかく強豪揃いで、受賞はちょっと難しい気も……。
でも、イ・ジュヨン監督は、演出賞を受賞できるんじゃないかと期待している。