2023年の「百想芸術大賞」のノミネート作品&俳優が発表された。『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』など、日本でもヒットしたNetflix配信のドラマタイトルがずらりと並んでいるが、その中で異色なのが『アンナ』だ。

『アンナ』は、日本ではPrime Videoで配信されている。美貌と才能を恵まれながらも、次々とウソを重ねて虚構の人生を歩むこととなる女性を描いた一作だ。

 原作は、韓国社会を騒がせたシン・ジョンア学歴詐称事件がモチーフの長編小説『親密な異邦人』。2011年には、シン・ジョンア学歴詐称事件を題材に『ミス・リプリー』というドラマも制作された。

 百想芸術大賞では、演出賞、最優秀演技賞(女性)、助演賞(男性)、助演賞(女性)にノミネート。そのタイトルを見て、「あれ?」と思った方もいるかもしれないが、本作には『アンナ』(6話)と『アンナ ディレクターズカット版』(8話)がある。Prime Videoにも、この2作がラインナップされている。

画像出典:Coupang Play

ペ・スジ主演『アンナ  ディレクターズカット版』見どころ考察

 実は、『アンナ』はいわくつきのドラマだ。ディレクターズカット版というと、監督が改めて未公開部分をプラスした作品のように思うが、本作の場合は事情が異なる。

『アンナ』は監督の同意なしに韓国の配信元(Coupang Play)が勝手に編集して配信してしまったもので、監督がもともと制作したものは『アンナ ディレクターズカット版』のほう。つまり、『アンナ』はディレクターズカット版の8話を6話に再編集したものなのだ。

 視聴済の方の大半は『アンナ  ディレクターズカット版』をすすめているようだが、個人的にもそれに賛同。百想芸術大賞でも、演出賞はディレクターズカット版がノミネートされた。構成や音楽を変更し、いくつかのシーンをカットしてしまった『アンナ』でもストーリーは追えるが、繊細さが抜け落ちてしまっている。