■ホン・サンスの映画としては珍しく軽快で後味のよい作品

 撮影地江陵(カンヌン)や三陟(サムチョク)は韓国の観光地のなかでももっとも爽快感が得られるビーチリゾートだ。劇中、「韓国でいちばんきれいな街を選んだら、たぶんこの街が1位になる」とヨンヒの先輩(クォン・ヘヒョ)が言っていたように、江陵は韓国でも屈指の観光地になった。ここ数年、コーヒーの街としても知られるようになり、本作に登場する実在のカフェ「ボンボン・パンアッカン」では、ヨンヒを気取ってコーヒーを楽しむことができる。

劇中、ヨンヒ(キム・ミニ)がタバコ片手に身体を揺らしながら歌うシーンが撮影された実在のカフェ「ボンボン・パンアッカン」(江陵市溟州洞28-2)
カフェ「ボンボン・パンアッカン」でヨンヒ(キム・ミニ)が座っていた席。映画には1階部分しか映っていないが、階段を上がると、2階は公演・展示などが行われるカフェ&ギャラリーになっている

 30作を超えるホン・サンス作品のなかではもっとも軽快で、後味もよい『夜の浜辺でひとり』。東京の下町にある小さな劇場でぜひ鑑賞してもらいたい。

*公開情報

『夜の浜辺でひとり』は東京・都営新宿線菊川駅前のミニシアター「Stranger(ストレンジャー)」で、6月22日、6月25日、6月27日、6月30日、7月3日、7月5日に上映。詳細は映画館URLにて。

https://stranger.jp/movie/1208/