韓国で社会現象を巻き起こしたモンスタードラマ『ペントハウス』シーズン1がNetflixに登場。連日トップ10入りを果たし、話題を呼んでいる。

 本作は2020年10月から2021年9月まで、3シーズンに亘って、超高級タワーマンション「ヘラパレス」に住むセレブ家族たちの強欲渦巻く世界をセンセーショナルに描いた衝撃作だ。

■ありえないでしょ!が止まらない『ペントハウス』、悪役がなぜか輝く名脚本家キム・スノクの世界

 泥沼愛憎劇のヒットメーカー、脚本家キム・スノク史上最も衝撃の展開と称された本作。なにが衝撃かといえば、やはり「全員悪!」なところだろう。復讐のため、生き残るため、這い上がるため、我が子のためなら、なんでもできる。黒い心をもつ人たちの饗宴なのだ。なかでも突出した2人の悪役にくぎづけになることは間違いない。

 ヘラパレスの住民の子どもたちが通う芸術学校の理事であり、ソプラノ歌手のチョン・ソジンを熱演したのはキム・ソヨン。2002年、日本の地上波でオンエアされた初の韓国ドラマ『イヴのすべて』で悪女ソンミを演じた彼女が、20年ぶりに挑んだ本格悪役。

 誰よりもコンプレックスを抱え、なんとしてでも成功者になりたいともがくソジンの常軌を逸した行動の数々、目をひんむきながら訴える自己中発言の数々は驚きの連続だが、切実な姿が哀れにも思えてくるから不思議だ。

 高いテンションを維持し、情熱的に悪女を演じ切った彼女は、シーズン1放送年である2020年のSBS演技大賞では中・長編部門の最優秀演技賞をイ・ジアユジンと共同受賞し、物語が完結した2021年のSBS演技大賞では、堂々と大賞を受賞している。

『ペントハウス』(C)SBS

 もう1人、本作で「稀代の悪役」「国民の敵」「国民の不倫男」と呼ばれたヘラパレスの帝王チュ・ダンテを演じ、悪役としての賞賛をすべて得たオム・ギジュンの怪演も見逃せない。

 ミュージカル俳優として第一線で活躍してきた彼は舞台では王子役で輝く俳優だが、映像世界ではこれに反比例するようにクセもの役を好んで演じている。双子の兄を殺害して、しれっとなりすます極悪ぶりが話題だった『被告人』(2017年)や、2022年の話題作『シスターズ』での姿も印象的だ。

 現在は、キム・スノク最新作であり、本国SBSで放送スタートした復讐劇『7人の脱出(原題)』に出演中。同じ悪役だが、ダンテとどう差別化した演技をみせるかに注目が集まっている。

『ペントハウス』(C)SBS