■転生ロマンスや スーパーパワーが大流行
高橋 ジャンルの傾向としては、生まれ変わりと超能力ものが多かった! そんなに因縁を引きずりますか?と突っ込まざるをえない(笑)。
杉本 かつては初恋を忘れられずに十数年だったのが、今では1000年を超える縁だからね。
高橋 昔から韓国ドラマには転生ものが多い印象だけど、今年は特に……。普通のラブストーリーだと思って見てたら、実は前世からの縁で……という展開になっていく。
杉本 “因縁”は必須だからね。韓国人特有の“恨(ハン)”がというか、「叶わなかった無念を晴らす!」みたいなものが、ロマンスでも復讐ものでも土台にある気がする。
高橋 一方で、最近のドラマ事情でいうと、時代劇パートを入れたいんじゃないかぁとも思う。時代劇を作る予算はないけれど、ビジュアル的な魅せ場になるし、時代劇特有の切なさが活きるじゃない?
杉本 基本は現代劇だけど、前世の記憶パートで朝鮮時代や高麗時代など、時代劇要素が出てくるやつね。
高橋 そうそう。『生まれ変わってもよろしく』しかり、『この恋は不可抗力』しかり。『ワンダフルデイズ』『昼に昇る月』『マイ・デーモン』も、転生が鍵。若手のイケメン俳優主演のものは、特にこの傾向があったかも。
杉本 特殊能力の持ち主も本当に多かった。『ムービング』はもちろんのこと、『ヒップタッチの女王』に『力の強い女 カン・ナムスン』……。普通の人間がスーパーパワーを普通に使って、事件を解決したり。ナムスン一家のスーパーウーマンぶりは、けっこう斬新だったよね! 転生にしても、超能力にしても、“ファンタジー設定”が定番になってきている。
高橋 一方で、社会の闇を鋭く描く挑戦作も多かった。『セレブリティ』や『マスクガール』は、インフルエンサーの光と影を映し出していて、そのリアルさにぞっとしつつも見るのが止められない(苦笑)。家族のドロドロ劇に病みつきになるのが大人だとしたら、若者にはこれがリアルに刺さるんじゃないかな。
杉本 社会問題をエンタメに昇華するのは本当にうまい。パク・ヘジン主演の『国民死刑投票』は悪人を処刑するか否かを、ネット投票で決めて、実際に処刑していくのだけれど、国民が一斉に正義をふりかざして裁きを決める。すごく今っぽいなって思いつつ、背筋がヒヤッとした。