■シーズンものが成功!
ディズニープラスも大躍進

杉本 続編やシーズンものも定着したよね。『浪漫ドクター キム・サブ3』も好評だったし、『復讐代行人2~模範タクシー~』は、2023年のSBSのドラマのなかでもっとも高い視聴率をとっていたそう。

 SBSの演技大賞候補が発表されているのだけど、『キム・サブ』のハン・ソッキュ、『模範タクシー』のイ・ジェフン、『ファースト・レスポンダーズ 緊急出動チーム シーズン2』のキム・レウォン、『悪鬼』のキム・テリって、『悪鬼』以外、皆シーズンもの。

高橋 ちょっとイレギュラーだけど『九尾狐伝1938』も、同じメンバーで時代を変えて作られて日本でも好評だった。基本的に、チームの活躍がうまく描けた作品は第2、第3と展開していけるんだと思う。

杉本 メインのキャラクター以外にも、チーム全員の物語が描けるのがいいんだろうね。前シーズンの出演者がカメオで出たりするのも楽しみだし。

高橋 いますごく楽しみにしているのが、『秘密の森』のスピンオフの『良いか、悪いドンジェ』。イ・ジュニョク演じる憎めない俗物検事を主人公に描くというからどうなるのか気になって仕方ない! 『賢い医師生活』のスピンオフ『いつかは賢くなる専攻医生活』も期待してる。主人公に『ムービング』のコ・ユンジョンがキャスティングされているのも嬉しい。

杉本 時代劇についていえば、2021年に『赤い袖先』をヒットさせたMBCが、ナムグン・ミン主演の『恋人(原題)』で再び旋風を巻き起こしたのは嬉しい限り。『宮廷女官チャングムの誓い』や『善徳女王』などを生んできた時代劇の名家の完全復活をイメージ付けられたと思う。このまま正統派時代劇を守ってほしいと思っています。

高橋 配信サービスでいえば、今年はディズニープラスが良作を数多く世に送り出したと思う。『愛だと言って』や『愛していると言ってくれ』のような、繊細なラブストーリーもよかったし、ノワールだと思って観た『最悪の悪』が泣ける人間ドラマでロマンスだったり。なにより『ムービング』が社会的現象を巻き起こしたもの!

杉本 原作者であり脚本も担当したカン・プルは、倍速視聴できないことがディズニープラスの決め手だったそう。配信時代になって話数が短くなる傾向にある中で、奥行きがない物語が増えている気がしているのだけれど、今回、20話の物語を成功させたのは、今後のドラマ制作にも影響するかもしれない。

高橋 今あげた作品はディズニープラスオリジナル作品だったけれど、オリジナル以外にも『アスダル年代記 シーズン2:アラムンの剣』や『浪漫ドクター キム・サブ3』などを配信したことも相まって、一気に視聴者が増えた印象があるな。

『愛だと言って』(C) 2023 Disney and its related entities

杉本 Netflixの人気の高さはもちろん、韓国で大ヒットした『財閥家の末息子〜Rich Reborn〜』を皮切りに韓国ドラマの独占配信をスタートさせたLeminoや、チャウヌの『ワンダフルデイズ』を筆頭に観たいラブコメディを多く配信しているU-NEXTなど、各動画サービスごとに目玉作品があって、配信はますます戦国時代になっているよね。これは、2024年も続きそうかな。

高橋 来年は、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』以来となるコン・ユのロマンスもの『トランク』(Netflix)や、パク・ボゴム×IUの『本当にお疲れ様でした』など、大スターの作品も予定されている。どんな作品が生まれ、どんな俳優が出てくるのか、楽しみだね。

 この他にも、2023年に飛躍した俳優、2024年の期待作についても語っているディープな「韓ドラマニア対談」は、『韓国TVドラマガイド』最新号107号に掲載している。