ドラマは時代を映し出す鏡だ。その年に作られた作品、話題となった作品を見ていくと、どんなものが求められたのか自然と見えてくる。

 創刊18周年を迎えた韓流エンタメ情報誌『韓国TVドラマガイド』編集部では、2023年の韓国放送作&日本上陸作を総括。ラブストーリー、ヒューマンドラマ好きと、時代劇、サスペンスマニアの2人が、この1年の韓国ドラマ界の流行と傾向をディープに語り合った。

■“ヒロインパワー”が
炸裂、トレンドは“優しい男

高橋 2023年は2022年に続き、ヒロインの活躍が目立つ1年だったね。『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』や『クイーンメーカー』『マスクガール』など、強い女性たちが物語の軸となっているドラマが大ヒットし、ラブストーリーも『無人島のディーバ』『イ・ドゥナ!』に代表されるようにヒロインが立っていた。

愛の不時着』や『梨泰院クラス』の頃に、自立し、男性と対等もしくは、彼らを守る力のあるヒロインが生まれたけれど、今は完全に男女逆転して、戦う女性を男性がサポートする構図が主流になったと思う。

杉本 『その恋、断固お断りします』のユ・テオが、愛する女性に対して「リスペクト、本気で尊敬している」と告白するシーンがすごく素敵だった。このセリフは、最近の男性主人公を象徴している気がしたわ。

高橋 『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』にしろ『医師チャ・ジョンスク』にしろ、一生懸命生きているアラフォー、アラフィフヒロインにスポットが当たり、大人の年下男子からリスペクトされ、愛される傾向があったと思う。

杉本 これまでの年下男子とはまた違うスタイルの誕生だった。若さ弾けるイケメンではなく、人生経験もあり、成熟した年下男子とのロマンスは、女性視聴者たちをよりリアルにときめかせた。

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高橋 ここ数年の傾向だけれども、男性側が「待つ」のよね。男性が女性の意思を尊重して、夢を応援し、何かあったらいつでも戻っておいでというスタンスなの。『無人島のディーバ』のボゴル(チェ・ジョンヒョプ)もそうだったし。だからか、いわゆる“ツンデレ”や“俺様”主人公が、かつてに比べて激減している。

杉本 “優しい男”がトレンドかもしれないね。

高橋 そんななかで、『キング・ザ・ランド』でジュノ2PM)が演じた財閥御曹司ウォンは、久々の王道ツンデレ!という感じで、逆にレアな感じさえしたわ(笑)。でも、ウォンは基本紳士だし、年上には礼儀正しいし、ツンよりデレ多めだし、なんだかんだで、“優しい男”“可愛い男”でした(笑)。