■外島ボタニアのオーナーが幸せに暮らす「不可能の家」

 長い坂を上ると、広大な洋風庭園に到着する。その突き当りに見える白い建物こそが、『冬のソナタ』最終回で感動的な舞台となった「不可能の家」だ。

 本来外観しか見学できないのだが、今回特別に内部を拝見する許可をいただいた。建物に足を踏み入れた瞬間、『冬のソナタ』最終回の名シーンが目の前に現れた。カタンと音を立てたユジンに対し、チュンサンが「ヌグシチョ?(どなたですか)」と尋ねるあの場面だ。

『冬のソナタ』最終回のチュンサンとユジンの再会シーンがよみがえる「不可能の家」内部

 驚いたことに、建物の中では外島ボタニアのオーナーであり、この家の住人でもあるチェ・ホスクさんが私たちを待ち受け、大歓迎してくれた。

 他界したご主人は元高校の数学教師、ホスクさんは元小学校の先生と、ガーデニングには全くの素人だったそうだ。ホスクさんが大好きだったアメリカの雑誌を参考に、この島の庭園のデザインをすべて手掛けたという。

「毎日忙しくてドラマを見る時間などなかったので、『冬のソナタ』が映画なのか音楽なのかもわからなかった」と、『冬のソナタ』の撮影オファーが来た時のエピソードを語ってくれた。

 台風の季節が最も大変だという島での暮らしについて、時折ご主人の悪口を交えながらユーモラスに話してくれた。

「皆さんはまだまだ若いんだから、夢を持って生きなさい。私は今とても幸せな気持ちでここで暮らしています」

 素敵な年の重ね方をし、優しい笑顔で語ってくれたホスクさんの言葉が、とても印象的で胸に染みた。

外島ボタニア内の西洋庭園はすべてオーナーであるチェ・ホスクさんがデザインした