今から20年前の2004年、NHK地上波で放送された『冬のソナタ』を見て、私の人生は大きく変わった。
それまで未知の世界だった韓国との出会いがそこにあった。チョン・ユジン(チェ・ジウ)とカン・ジュンサン(チュンサン/ペ・ヨンジュン)の織り成すラブストーリーは、古典的だが胸を締め付ける要素がふんだんに盛り込まれていた。(以下、ネタバレを含みます)
■『冬のソナタ』最終回のロケ地、慶尚南道・外島への旅
『冬のソナタ』では、特に終盤から最終回にかけての感情移入が半端ではなかった。
ユジンはチュンサンとの別れ際に「不可能の家」の模型を渡す。ユジンが設計したものの、コストがかかりすぎて実現させるのが難しいといわれた家だ。
チュンサンと別れて3年後、パリ留学を終えたユジンは、自分が設計した「不可能の家」が実在することを知り訪ねてみる。するとそこにはチュンサンの姿が……という感動的なラストシーンだ。
この場面の撮影が行われたのは、韓国南東部・慶尚南道にある外島(ウェド)という島だ。
済州島に次いで韓国で2番目に大きい巨済島(コジェド)本島から4キロほど離れた場所にあり、閑麗(ハルリョ)海上国立公園に属している。
島全体が「外島ボタニア」という個人所有の巨大庭園として、年間100万人以上の観光客が訪れる人気の観光スポットだ。
外島に釣りに訪れた夫婦がこの島にひとめぼれし、1969年に不毛の地だった岩島を購入。何年もかけて亜熱帯植物を植樹し、1995年に外島海上農園として開業したことが外島ボタニアの始まりだった。
面積は14万5千平方メートルと、東京ドームの3倍の広大な庭園で、開業から現在までに2千万人あまりの観光客が訪れているという。
2014年に続き、10年ぶりに私が企画した韓国地方旅ツアーの参加者とともにこの島を訪ねた。
巨済島の中東部にある長承浦港を出港後、カモメにセウカンというエビせんべいをあげたり、韓国版「青の洞窟」と呼ばれる海金剛(ヘグムガン)を見学したりしながら、約1時間で外島に到着した。