2024年下半期作でチェック漏れしているかもしれない、ちょっぴりマニアな韓流エンタメの良作を紹介。年末年始にじっくりハラハラ楽しめる4作品をセレクトした。(記事全2回のうち2回目)
■2024年下半期のおすすめ韓流エンタメ作品を深掘り解説!
■『良いが悪い、ドンジェ』
本作は、検察の腐敗を描いた大ヒット作『秘密の森』シリーズのスピンオフである。同作で人気を集めた脇役キャラのソ・ドンジェを主人公にしている。
ドンジェは、自分の利益のためだけに動く日和見主義的な検事である。イケメンを絵に書いたようなスマートなルックスではあるが、決して尊敬できる検事などではない。だが、どこかにいそうな人間臭さをもっていて何だか憎めない。
ドンジェを演じるのは、『犯罪都市 NO WAY OUT』で超悪役を演じたイ・ジュニョク。『秘密の森』の際にも、ドンジェが彼の“人生キャラクター”といわれたが、今回も素晴らしいハマりぶりだ。
きりりと事件を解決に導いたかと思えば、調子よく振る舞って自分の利益になるよう誘導したり、「あーむずかしい!」と物事を投げ出したりするドンジェ。サスペンスフルな展開の中で、そんな人間らしい姿が所々入り、くすりとさせる。なかなか出世できないドンジェの哀愁を皮肉るようなタンゴ調のBGMも効いている。
『秘密の森』の特にシーズン1はストーリーが非常に優れていたため、そこには及ばないだろうと思っていたが、サスペンスとしてもなかなかの味わいがある。
ドンジェが利益ばかりを考えたがゆえに真実が見えてきたり、正義感からしたことではないのに結果的に正義につながってしまう矛盾を抱えた展開が面白い。善と悪が入り乱れ、まるでドンジェのキャラ設定そのものを物語に落とし込んだようだ。独立したエピソードかと思いきや、前半にも伏線が張られ、それをしっかり回収していく部分も見事である(オープニングにも注目!)。
『秘密の森』で登場したキャラクターがちらりと出てきたり、同作の主人公である“ファン・シモク”(チョ・スンウ扮)の名が絶妙な場面で使われたりと、ファンに嬉しい配慮もあるが、『秘密の森』を観ていないからといって観るのをやめてしまうのはもったいない。前作を視聴せずとも問題なく楽しめるはずだ。スタイリッシュなのにくすりとできるサスペンスを観ながら、お正月を過ごすのも悪くない。
●配信情報
『良いが悪い、ドンジェ』U-NEXTにて独占配信中
[2024年/全10話]演出:パク・ゴンホ 脚本:キム・サンウォン、ファン・ハジョン クリエイター:イ・スヨン
出演:イ・ジュニョク、パク・ソンウン ほか
(C)TVING Co., Ltd. All rights reserved.