■【理由3】チンピラヤクザ役のソン・ガンホ、彼を足蹴にする親分役には『ムービング』のムン・ソングン
ヒロイン(シム・ヘジン)を尋ねて一人でナイトクラブにやってきた主人公(ハン・ソッキュ)を「いらっしゃいませ。お一人ですか?」と迎えるチンピラヤクザ役は、当時29歳でまだ無名だったソン・ガンホ。
若く、頬がこけているので、のちにあれほど顔が売れたのに、ソン・ガンホだと気づかない人もいるくらいだ。二回目の登場シーンで、主人公を暴行し、タバコを突きつけ「ライターあるか?」と迫るシーンは、その数年後の二人の立場の逆転を予感させ興味深い。
ソン・ガンホ扮するチンピラを主人公(ハン・ソッキュ)の目の前で足蹴にするのが、『ムービング』やホン・サンス監督作品で知られるベテラン俳優ムン・ソングン(1953年生まれ)。当時43歳で男の色気全開だ。今後、ひとつの画面に映る可能性がきわめて低い大物三人の共演である。
また、主人公が軍隊に行っている間、タバン(女性が接客する喫茶店)でこっそり働く妹役にオ・ジヘ。本作の翌年に、『八月のクリスマス』(1998年)で兄(ハン・ソッキュ)思いの妹を演じ、最近では、パク・ウンビン主演の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』最終回で、冷静な裁判長を演じている。こちらも歳月の流れと役柄のギャップが味わい深い。
●作品情報
『グリーンフィッシュ』
[1997年/111分]監督・脚本:イ・チャンドン
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン
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※4Kレストア 版のBlu-rayのほか、動画配信サービスなどでも視聴可能。