■ゾンビを倒すことに躊躇する場面も

 俳優が実名で登場するリアリティショー的な作品『ゾンビバース』。2023年から2024年にかけて2シーズン製作された本作も新たなアイデア満載だった。ゾンビの気をそらすために爆音を発するポン菓子の機械を使ったり、免疫のある者とそれを生け捕りにして報奨金をせしめようとする者の攻防戦を描いたりしたことなどがそれだ。

 そして、もっとハッとさせられたのが、シーズン2に当たる『ゾンビバース:ニュー・ブラッド』で、ゾンビを殺していいものか迷ったり、ゾンビを殺してしまったことを後悔したりする場面だ。これは『ニュートピア』で軍人がゾンビを射殺することに躊躇する場面に引き継がれている。

 ゾンビものが世界各国で製作されるようになってから50年以上経つ。ゾンビを倒すには脳を破壊したり、斬首したりしなければならないことは必須知識となり、ゾンビが化け物なのか人間なのかという思考の描写は省かれがちだ。『ゾンビバース:ニュー・ブラッド』や『ニュートピア』は、その迷いをしっかり描くことでリアリティを出すことに成功している。欧米のような銃社会ではないが、軍経験を通じてある程度銃器を扱うことができる者の多い韓国らしい話である。

韓国の軍隊では多くのものが実弾射撃や銃の分解・組立の訓練を受けている。徴兵制の背景には南北分断がある。『新感染 ファイナル・エクスプレス』には感染者を共産主義者と重ねる描写もあった

●配信情報

『ニュートピア』Prime Videoにて独占配信中

[2025年/全8話]演出:ユン・ソンヒョン『狩りの時間』 脚本:ハン・ジンウォン『パラサイト 半地下の家族』、チ・ホジン『殺し屋たちの店

出演:パク・ジョンミン、ジス(BLACKPINK)、イム・ソンジェキム・ジュンハン、ホン・ソヒ、カン・ヨンソク