国を背負う重圧もものともせず、改革のために朝敵に挑むなど、キム・ジフン扮する王の堂々とした聖君オーラにほれぼれ。王妃や王子を大切に愛しみ、信頼する部下ユン・ガプを偲んで文に残す姿などは、どこまでもついていきたくなってしまう。一方で、悪鬼・八尺鬼(パルチョッキ)に憑依されたときの凶悪な顔、圧倒的存在感も絶品だ。

 そしてなにより心が躍るのは、カンチョリやヨリと行動をともにするときの王の軽妙洒脱なふるまい。ぞんざいな態度のカンチョリをさらりと受け入れ楽しむ様子には王の余裕が感じられる。

 さらに、ヨリの涙に戸惑うカンチョリには「優しく抱きしめて話をきいてあげればいいのだ」と恋愛指南。やいのやいの言いながらも、互いを信じて協力し合う王とカンチョリはまるで兄弟のよう。2人のブロマンス、兄弟ケミを存分に楽しみたい。

 また、演出家を手がけるのは、『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?~ 』のユン・ソンシク。その縁から、王を支える尚膳役をキム・イングォン、役人ユン・ガプの母をチャ・チョンファと、『哲仁王后』で絶妙カップルを演じた両人が、今回も個性的かつ優しさあふれるキャラクターを担っている。彼らサブキャラたちのコミカルなシーンもドラマの見どころのひとつだ。

 最後に、八尺鬼とも天地将軍とも呼ばれた悪鬼を演じたソ・ドヨンのことを加えたい。『ちょっと味見しませんか』以来、5年ぶりのドラマ出演となった今作で、これまでの“長編貴公子”から完全脱皮。特殊メイクをほどこし、八尺(約2m 40cm)の鬼神をすべて自身で演じた、その体当たり演技も必見だ。

 

『鬼宮』Leminoにて独占配信中 (C)SBS

●『鬼宮(ききゅう)』あらすじ

 巫女の祖母の血を受け継ぐ眼鏡職人のヨリ(キム・ジヨン)は鬼神から身を守るための警鬼石(キョンギソク)を持っている。天に昇る姿を人間に見られたせいで地に落ちた悪神のカンチョリ(キム・ヨングァン)は、再び天を目指すために必要なヨリの肉体を13年間つけ狙っていた。

 そんななか、ヨヌの初恋の君ユン・ガプ(ユク・ソンジェ)がヨヌの前に現れた。実は、ユン・ガプ、何かに取り憑かれた世子に心を痛める王(キム・ジフン)のために、ヨンの霊力をかりようとしていたのだ。ところが、そのユン・ガプを、王の政敵が殺害。直後、カンチョリがユン・ガプの肉体に入り込んでしまい……。

●配信情報

『鬼宮(ききゅう)』Leminoにて独占配信中

[2025年/全16話]演出:ユン・ソンシク 『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?~ 』『花郎〈ファラン〉』『王の顔』 脚本:ユン・スジョン 『王の顔』

出演:ユク・ソンジェ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~」『ゴールデンスプーン』、キム・ジヨン『朝鮮弁護士カン・ハンス~誓いの法典~』『二十五、二十一』 『ピラミッドゲーム』、キム・ジフン『悪の花』『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』『その恋、断固お断りします