ともにアイドル出身で、練習生時代からの親友という、ユク・ソンジェキム・ジヨンがタッグを組み、架空の朝鮮王朝を舞台に、不思議な力をもつ主人公たちが王宮に潜む鬼退治に挑む時代劇『鬼宮(ききゅう)』。SBS時代劇としては2021年の『ホン・チョンギ』以来のヒット作となった、王宮ファンタジー作品だ。

■話題作『鬼宮』でユク・ソンジェが悪神カンチョリと真面目な役人の2役を好演、キム・ジヨンが悪鬼と戦う不思議な力をもつヒロインに!

 深い沼の底で千年の修行を終え、ようやく天に昇るはずだった大蛇(イムギ:龍の一種)カンチョリと、生真面目な役人ユン・ガプの1人2役を演じるのはBTOBのユク・ソンジェ。

トッケビ~君がくれた愛しい日々~』『サンガプ屋台』『ゴールデンスプーン』とファンタジー作品に多く出演し、神や神物、魂の入れ替わりなど、一風変わった役どころを担ってきたことから、“憑依俳優”と紹介される彼が、今回も、人間の肉体に入り込んだ悪神というキャラクターに挑み、魅力を発揮した。

 まずは悪神カンチョリの奔放ぶりだろう。雷雨を呼ぶなどお茶の子さいさい、人間もつむじ風を操り吹っ飛ばす。誰もが敬う王すらぞんざいに扱うさまは、さすが千年修行した大蛇。ふてぶてしさ以上の威厳もあり、戦う姿はかっこいい。

 一方で、人間の体に入り込んだせいで知る新たな感覚に驚き、反応する様はコミカルでキュート。とくに、食事の美味しさに飛び上がって喜ぶその無邪気な姿は、ユク・ソンジェがもつ永遠の少年性とあいまって絶品だ。

 さらに、13年間つけ狙っていたヨリに対して生まれていく恋心、その戸惑いやときめきも表情豊かに表わされている。真面目で遠慮がちな役人ユン・ガプとのギャップ、演じ分けも見事だ。

 ヒロイン役のキム・ジヨンにとっては、『朝鮮弁護士カン・ハンス~誓いの法典~』に続き、自分の運命を自ら切り開く史劇ヒロイン。巫堂(ムーダン)の血を受け継ぐヨンは、初恋の君ユン・ガプの魂を救おうと奔走しながら、恨みをもってこの世に残っている霊たちの願いを聞き取る、誰よりも清い心の持ち主だ。やがて彼女は、カンチョリとともに、王宮に潜む悪鬼と戦う道を選択する。

 そんな2人が丁々発止のやりとりをしながら、次第に心を開き、絆を強めてい展開は、ラブコメの王道でときめき度大! 霊力の弱まりを感じながらもヨリを守ろうとするカンチョリ、初恋の君ユン・ガプへの想いとカンチョリへの恋心に揺れるヨリを、あうんの呼吸で演じたユク・ソンジェ×キム・ジヨンの黄金ケミを見届けよう。

『鬼宮』Leminoにて独占配信中C)SBS

 主人公2人に加え、見逃せないのが、王イ・ジョン役のキム・ジフンだ。近年は『悪の花』や『もうすぐ死にます』の悪役ぶりで、視聴者を震撼させてきたが、もともとはツンデレ上司や人情キャラクターなど、柔らかな役柄を得意としてきた俳優。本作ではそのどちらのキム・ジフンも堪能できるのがうれしい。