領土拡大を目論む列強たちが中国大陸でしのぎを削っていた20世紀初頭を舞台に、自らの信念にもとづいて行動した男たちの姿を壮大なスケールで描く韓国映画ハルビン』。

 韓国の歴史に名を残す人物に扮したヒョンビンを始め、『密輸 1970』のパク・ジョンミンやドラマでも活躍の続くイ・ドンウクといった実力ある俳優たちが同志役で顔を揃え、同じ目標を持ちながらも複雑に絡み合う彼らの心理の移り変わりを重厚に見せていく本作。その日本公開を前に来日したウ・ミンホ監督に作品にかけた思いを聞いた。(インタビュー記事全2回のうち前編)

■映画『ハルビン』ウ・ミンホ監督インタビュー「初めて会ったときから、固い信念があり、常に同志を信じるアン・ジュングンをヒョンビンなら表現できると思っていた」

——映画『ハルビン』を拝見し、歴史的な出来事を過度にドラマチックに見せないようにという監督の意図を感じました。どんなところを大切に考えながら映画を作っていったのでしょうか。

「一番重要だったのは、アン・ジュングン(安重根)将軍と大韓義軍の同志たちが心から思っていたことをどう伝えるかでした。私自身が興奮し、彼らの真実の心を誇張して表現してしまうといけないので、なるべく心を落ち着けて、一定の距離を維持しようと努力しました。また、観客が彼らの心を『見る』のではなく、『感じて』ほしいと願いました。人の心というのは、目に見えず、感じるものですからね。ですから、カメラと被写体の間に一定の距離を常に維持して、人物を大きくとらえるクローズアップもそれほど使っていません」

——主人公のアン・ジュングン役にヒョンビンさんをキャスティングした理由は?

「初めて会った時から、彼であればアン・ジュングンを表現できると思っていました。アン・ジュングンには固い信念があり、常に同志を信じています。ヒョンビンさんにも同じようなところがあります。また、映画をご覧になるとわかっていただけると思いますが、非常に苦労の多い現場になることは撮影前から明らかでした。ヒョンビンさんは、どんなに大変な状況になっても、少しも揺らぐことなく耐えられる俳優だと思いました。こうした理由から、絶対に彼でなければならなかったんです。

 現場で彼は、どんなに大変なアクションシーンでもスタントマンを使わずに自分がやると言い張りました。私は怪我をしたらいけないので、スタントマンを使ってもいいと思ったんですが(笑)」

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