財閥家の末息子~Reborn Rich~』ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜涙の女王』、そして最近公開した『ウンジュンとサンヨンなど、人気ドラマの名シーンを、その甘く優しい歌声で彩ってきた“OSTの王子様”こと、 Paul Kim(ポール・キム)が、念願の日本デビュー。日本語歌詞を新たに書き上げた『君に会い(Me After You)』をリリースし、本格的な日本活動をスタートした彼に、日本の音楽ファンにぜひ聴いてほしいナンバーや、OSTを歌うときのコツなどを訊いた(全2回の後編)

■「自分の楽曲であれば、自分の経験や色を大切に。OSTはそのドラマの世界を最大限表現できる歌声やトーンを探す」

――『涙の女王』『ホテルデルーナ 〜月明かりの恋人〜』『わたしの完璧な秘書』など、日本でも大人気のドラマの挿入歌を担当していますが、自分の楽曲とOSTを歌うとき、どんな違いがありますか? 気をつけていることはどんなことですか?

「やはり自分の歌ですから、自分の経験や自分らしい表現が入っていますよね。一方、OSTは、完全にそのドラマのために作られた曲だと思うので、その曲にいちばん合う表現が大切です。例えば、『涙の女王』の挿入歌『Can’t Get Over You』ですと、「チョアヘヨ(好きです)」という歌なので、最初は幸せな曲なんだと思っていました。だから、曲の雰囲気は少し悲しかったんですけど、笑顔で歌ったほうがいいんじゃないと思って途中まで歌入れをしたんです。

 でも、監督さんから『ポール、この曲は、ドラマのこの部分に入るよ』っていわれたシーンを見て、レコーディングをし直しました。ドラマの世界をいかに表現するか、スタッフさんたちがほしい音やトーンを見つけ、シーンに合わせて歌うようにしています」

――なるほど。OSTはドラマ世界の再現、オリジナル楽曲は自分の世界全開なんですね。

「そうです。僕が作っているものは、自分自身を表現している楽曲が多いと思います。そうでないと、ステージで歌うことが恥ずかしくなってしまうかもしれない」

――というと?

「自分の話をするのに慣れているからです。実際、人にいただいた曲もあるんですけど、その曲が自分の経験と合わないと多分……歌えないと思います。 そうなってしまうと、その曲はただのカバー曲になってしまう。自分の歌とはいえなくなってしまうと思うんですよ」 

――どんなふうに楽曲作りをしているのですか? 作詞と作曲に順番などはあったりしますか?

「場合によって違います。歌詞とメロディーが一緒に浮かぶ場合もありますし、メロディーを先に作っておいて、歌詞をつけていくこともありますね。普段からなにかひらめけば携帯の録音機能を使って口ずさんで……。家で作業することが多いですが、曲作りがうまくいかないときには、どこかに出かけてみるなど、シチュエーションを変えたりします。たとえば、海を前にして、砂浜にずっと座って、全部書いて帰ったり。飛行機の中でも書いたりしてます。いつもの場所じゃない、というのが、アイデアの宝庫になることがあります」