男社会の権化のような存在として登場する映画会社の社長兼プロデューサーのジュンホを、イ・ハニと『エクストリーム・ジョブ』で共演した実力派俳優チン・ソンギュが演じているのも見逃せない。プライベートでは内向的な性格だというが、そうとは微塵も感じさせない、下ネタ全開のゲスな男に成り切ってドラマを盛り上げている。
韓国の1980年代は、「3S政策」(スクリーン〈映画〉、セックス、スポーツの振興)が進められ、官能映画が推奨された一方、検閲や規制も厳しかった。そのため、直接的な官能シーンはほぼ描けなかったそうだが、本作のドラマ本編にもほとんどそういったシーンがない。
それでもやはり家族で観るのは気が引けるかもしれないが、観るリストから外してしまうのはもったいない。今も続く男性中心社会との痛烈な闘い、ここには書き切れなかったが映画人の情熱もきちんと描かれていて、面白くて感慨深い。年末年始にじっくりと鑑賞するに値するクオリティと娯楽性を備えた一作だと思う。
●配信情報
Netflixシリーズ『エマ』独占配信中
[2025年/全6話]演出・脚本:イ・ヘヨン
出演:イ・ハニ、パン・ヒョリン、チン・ソンギュ、チョ・ヒョンチョル