■コロナ禍の陰で「ヤツら」が大量発生中!
世界中を巻き込んだ新型コロナ騒動の陰で、密かに勢いを増している生き物がいる。ネズミだ。日本では新宿、渋谷など繁華街で大量発生し、その姿が数多く目撃されるようになった。
アメリカ・ニューヨークでは放置されたゴミが原因でネズミが大量に発生し、2022年末には駆除担当の職員を緊急募集。その年棒は17万ドル(約2300万円)だという。また、2021年5月、オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州では、農村地帯を中心にネズミが大量に発生。農地や町に殺到し、農作物を食い荒らし、住宅や病院に侵入して人を噛んだり、死骸が悪臭を放った。
夜の大地に走り回る数千匹のネズミ、豪東部の農村で大量発生/ロイター
14世紀から19世紀初頭にかけて、欧州の人口の3分の1が死亡した疫病、ペストの世界的流行はネズミが原因だったことが知られている。この生物災害を背景としたグリム童話「ハーメルンの笛吹き男」は大繁殖したネズミを退治した男が約束の報酬を貰えずに怒り、報復として街の子供を連れ去った、という物語。人類は昔からネズミの大量発生と戦ってきたのだ。
■日本列島をたびたび襲った「ねずみ騒動」とは?
実は日本でも古代からつい数十年前まで、たびたびネズミの大量発生が起こった記録がある。
この半世紀だけを見ても、第二次世界大戦が終わった4年後、愛媛県と大分県の間にある宇和海の島嶼部および海岸部で、ネズミが大量発生。1949年に戸島(愛媛県)のトウモロコシがドブネズミによって全滅し、翌年には日振島(愛媛県)、1954年には三浦半島、1960年には南宇和郡、北宇和郡津島町(現宇和島市津島町)まで拡大した。
サツマイモ、麦、大豆、小豆、イリコなどの水産加工物が被害に遭い、大量発生したネズミによって家具や家屋、さらには乳児が齧られるなどの被害が発生し、「ねずみ騒動」の名で日本中に知れ渡ったのだ。
■ネズミの大量発生を招く「不吉な花」
記録によれば、このネズミの大群を退治するため、蛇191匹、イタチ156頭、猫4392匹などが送り込まれ、様々な方法で駆除を試みたが、どれも決定的な解決にはならなかったという。一度大量発生してしまったネズミを退治するのは、非常に困難なのだ。
このようにネズミが大量発生する原因のひとつとして「竹の開花」が知られている。竹は地下茎でつながり次々とタケノコが生えることで生息域を広げて竹林となるが、これらの竹はすべて遺伝子が同一のクローン。種類によって周期が違うが、定期的に一斉開花して枯死してしまう。そのスパンは60年から120年と非常に長く、真竹の場合は120年周期であると推測されているが、まだ周期が分かっていない種類も数多い。
この一斉開花が起こると竹は大量の実をつけるため、それを餌とするネズミが大量発生することが知られている。このことから、昔から竹の開花は「不吉なことがおきる前兆」と言われてきたのだ(注1)。
注1/厳密には、竹やササの一斉開花で大量発生するのはノネズミ(アカネズミやヒメネズミ)だといわれている。
■不吉を予兆する花が一斉開花したワケは?
そして、実はコロナ禍が猛威を振るったここ数年、不可解なほどタイミングを同じくして日本各地で竹が開花している。
2019年から2023年にかけて、北海道、青森県深浦町、岩手県大槌秋田県美郷町、神奈川県鎌倉市、東京都調布市、富山県高岡市、福井県おおい町、岐阜県各務原市、愛知県名古屋市、静岡県磐田市、静岡県浜松市、大阪市北区、兵庫県丹波篠山市、兵庫県丹波市、兵庫県丹波篠山市、広島県福山市、岡山県総社市、島根県益田市、徳島県小松島市、香川県高松市福岡県福岡市佐賀県神埼市沖縄県浦添市など、まさに日本全国津々浦々で竹の開花が報告されているのだ。
もちろん、都市部におけるネズミの増加と竹の開花の間に因果関係はなさそうだが、「120年に一度」の竹の開花が一斉に起きているという事実は何かを暗示しているのだろうか?