「カワノ、チャネリング始めます」怪談連載の執筆に悩み”迷走”の果てに”瞑想”に辿り着いた筆者カワノアユミの「末路」とは？？？【夜街怪談・第35回】

■カワノ、チャネリングしてみるって

　恐ろしいことに、この連載が始まってからすでに一年半以上が経過してしまった。何度もこの連載で話しているが、私は霊感というものがまったくない。

　怖い話を書いていたら、そのうちに視えるようになるのでは？と甘く考えていたのだが、まったくそんな気配はない。そんななか、耳を疑うような一言を聞いた。

「カワノさん、もしかしてチャネリングが合っていないんじゃないですか？」

　……チャネリング？　タイのビーチで火がついた棒を回してるあの芸？　……いや、それは「ジャグリング」だろう。

「チャネリングとは、霊的存在や高次のエネルギー、宇宙の力と繋がり、そのメッセージを受け取る術なんです。霊など特定の存在に“チャンネル”を合わせることで、交信できるというものです」

　……なるほど、チャンネルを合わせれば私にも幽霊が見える可能性があるのか。そんなわけで、さっそくチャネリングについて調べてみた。

■瞑想状態で幽霊と交信できる!?

　まずはチャネリングとは何かを知るために、ネットで色々と調べた結果、分かったことはこうだ。

　チャネリングとは、瞑想やトランス状態に入り、霊的存在やエネルギーからメッセージを受け取る行為を指す。

　これを行なう「チャネラー」は、高次元の存在や宇宙のエネルギーと繋がることで、癒しや啓示を受け、人々にその知恵を伝えるらしい。自動書記や口頭伝達など、さまざまな方法でそのメッセージが伝えられるという。

　……ということは、幽霊と対話ができるかもしれない。

　ちなみにチャネリングは意識の集中がすべてを左右する技術のため、頭の中で雑念が渦巻いていたり、他のことに気を取られていると霊的な存在やエネルギーと繋がることは難しくなるという。

　なぜなら、チャネリングを行なうということは自分の意識を手放し、霊的な存在に意識を合わせるということだからなのだ。

　要は一種の瞑想であり、特に深い変性意識状態が求められるため、浅い集中ではなく、さらに一歩踏み込んだ精神状態が必要なのだ。

■興味本位でやっちゃダメなの？

　だが、さらに調べていくと、驚くべき事実に直面した。チャネリングには向いている人と向いていない人がいるらしい。

　人生に迷いがある人、不安に苛まれている人、うまくいかないことが続く人などはチャネリングに向いているとされている。しかし、悩みがまったくない、あるいはチャネリングの必要がないと感じている人は、無理に挑戦することは推奨されていない。

　人生に迷い……特にないんですけど。

　私はただ、幽霊を見てみたいだけなんですが……それじゃダメなんでしょうか？　さらに調べると、海外には精神的浄化や自己発見を促す幻覚作用のあるお茶を飲む体験もあるらしいとか。

　うーん、昔ラオスで友達がマジックマッシュルームで幻覚を見ていたけれど、それと何が違うんだろう。もはや、幽霊も薬物による幻覚の一種なんじゃないかとさえ思えてくる。（怒られそうですが……）

■論より証拠、まずは実験だ！

　とはいえ、試してみなければ何も始まらない。チャネリングの方法も調べたので、実践してみることにした。すっごく簡単にまとめると（これまた怒られそうだが）、こんな手順だ。

1.リラックスする
静かな場所で瞑想や深呼吸をして心を落ち着かせる。

2.意図を設定する
繋がりたい存在やエネルギーを明確にして、守護霊や特定の霊的存在をイメージする。

3.意識を高次元に向ける
意識を高め、呼びかける。

4.メッセージを受け取る
言葉や感覚、直感に集中し焦らず待ち、メッセージを受け取る。

5.記録する
得られたメッセージはすぐに記録する。

　ということで、さっそく実践してみたのだが……深い瞑想の中、周囲の音は徐々に遠のき、やがて完全な静寂に包まれる。体の感覚も薄れ、意識はどんどん内側へと沈み込んでいく。

　呼吸がゆっくりと整い、心の中の雑念が消えていくと、目の前に広がるのは暗闇……いや、ただの暗闇ではない。静寂の中に、何かが潜んでいるような気配がする。意識が次第に高次元へと引き上げられるような感覚。

　その瞬間、不意に何かが降りてくる感覚があった。まるで霧が晴れるように、頭の中に何かが入り込む。そして、静かに声が響き渡った。

「1……3……」

　ん？　なんか数字が頭の奥から聞こえてくるんだけど……。

「1……３……１ー３……１ー３ー６！！！！」

　…………！？