■物静かでクールなジウンの複雑な感情を、繊細に表現する確かな演技力
そして今回の『その年、私たちは』への出演は、キム・ソンチョルにとって大きなブレイクのきっかけになった。彼が演じたジウンは、学生時代から成績は優秀、物静かで感情を荒げることのないクールキャラだ。ドキュメンタリー監督となった彼が、ひょんなことから親友ウンとその元カノ、ヨンスのドキュメンタリーを撮ることになることから物語は始まるわけだが、彼が何を思って2人を見つめているのか、序盤はその心のうちが読めず、妙なハラハラ感を抱かせる存在として観る者の心に引っかかってしまう。
2人のいざこざに呆れたり、上手くいなしたりしながら、それでもその瞳が、泣いているような、苛立っているような、虚しいような、悲しいような、なんとも言えない複雑な感情を浮かべ、知らぬ間に彼の本心を覗きたくなっていく。非常に繊細な表現をする俳優だ。
1991年生まれのキム・ソンチョルはそもそもミュージカル界のスターで、2014年の舞台デビュー以降、確実にキャリアを積んできた本格派。2017年には、韓国ミュージカルアワードで男性新人賞を受賞するなど、その実力はお墨付きだ。
今年はミュージカル『デスノート』で、キム・ジュンスとともに「L(エル)役」にWキャストが決まり、ドラマや映画だけでなく、幅広い活躍が期待されている。大物俳優も認める確かな演技力で、今後のさらなる飛躍に注目したい。