■『今、私たちの学校は…』の大ヒットでKゾンビに再び注目が集まる

『今、私たちの学校は…』の大ヒットで、Kゾンビというジャンルにも改めて注目が集まりそうだ。韓国映画に詳しい編集者の山下龍夫氏は、Kゾンビについてこう語る。

「Kゾンビでまず思い浮かぶのが、KTX車内で感染爆発する映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)です。高速移動密室劇というゾンビ映画史上例のない設定で、緊張が118分続くのですが、この圧倒的なドライブ感は『今、私たちの学校は…』にも受け継がれていると思います。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』の感染の疑いのある者を虐げる場面では、朝鮮戦争時の共産主義者の排除を思い出す韓国人も多かったようです。公開初日、ソウルの映画館で観ましたが、終盤に嗚咽する観客もいました。ラストシーンは後のゾンビ映画『リトル・モンスターズ』(2019年、米英豪)にも影響を与えたのでは。

 アメリカのドラマ『ウォーキング・デッド』は、ゾンビ禍でリセットされた世界をどう再構築していくかがテーマでした。本作『今、私たちの学校は…』は、韓国のさまざまな社会問題をあぶり出すと同時に、不景気、スペック地獄(学力や英語力競争など)、外見至上主義、コロナ禍などに疲れ切った人々に一種のカタルシスを与えているのだと思います」(山下氏)

 ゾンビものは怖いと思って敬遠している人もいるかもしれないが、若手からベテランまで揃ったキャスト陣の熱演も、アクションやゾンビの映像も見ごたえたっぷりなので、ぜひ一度観てみることをお薦めする。新たなエンタメの刺激的な面白さにハマるはずだ。