その後の活躍は申し分がなかった。2016年には『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』に主演して朝鮮王朝26代王・高宗(コジョン)の娘であった徳恵(トッケ)翁主(オンジュ/国王の側室が産んだ王女)に扮していた。

 この映画で忘れられないのは、日本で暮らした徳恵翁主が戦後病身で韓国に戻ってきたときのシーンだ。年配のやつれた女性をソン・イェジンは「歴史に翻弄された哀れ」と共に生身で表現していた。彼女の女優魂がいかんなく発揮された名場面だった。

 そして、『愛の不時着』。もはや説明が要らないほどのドラマだが、パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着してしまったのに強気な性格をそのまま通用させてしまう財閥令嬢の役を、ソン・イェジンは「愁いを含んで痛快かつ奔放に」演じきっていた。その末に実生活でもヒョンビンとの愛を結実させて、『愛の不時着』はソン・イェジンのキャリアの最高峰になったとも言える。

 そんなソン・イェジンは今年1月に40歳を迎えたが、現在の彼女にピッタリの新作が『39歳』だ。40代を直前に控えた女性たちの様々な生き方を等身大で描いたドラマだが、ソン・イェジンが共演のチョン・ミドとキム・ジヒョンと一緒に同世代の女性たちをどう表現していくかが興味深い。

 ヒョンビンとの結婚を発表して祝福ムードが盛り上がる中で、ソン・イェジンのさらなる女優人生に期待している。