■海女の仁義

 第4話。潜水時間が終了しているのに、ヨンオク(ハン・ジミン)が船に上がってこない。10分遅れで戻ったが、他の海女たちはカンカンだ。いつもはおおらかなチュニ(コ・ドゥシム)も眉間にシワを寄せている。

「陸地の者に海女なんかさせるからこうなる!」

「それじゃあ海女の成り手がいないじゃない!」

 ヨンオクの件で一悶着ある。済州の海女と海女のあいだにも葛藤があるのだ。

 ヨンオクの妹分(済州出身)が真顔で言う。

「姉さんのことは好きだけど、今日だけは言わせてもらう。姉さんはたった10分と言うけど、その数分が命取りになるの。海女の仕事は独りよがりじゃダメ。運命共同体なのよ」

 私も直接、済州の海女たちから同じような話を聞いたことがある。

 海女の仁義は若い人には理解されにくいかもしれないが、安全に細く長く稼ぐことを優先した合理的なものなのだ。

済州の牛島で出逢った70代の海女。背中の丸いものは『私たちのブルース』にも登場するライフジャケット代わりの浮揚具、テワック