韓国エンタメ界の最大のアワード、今年の第58回『百想芸術大賞』で、Netflixシリーズ『D.P.-脱走兵追跡官-』がTV部門の作品賞、男性助演賞(チョ・ヒョンチョル)、男性新人賞(ク・ギョファン)の三冠に輝いた。

『D.P.-脱走兵追跡官-』は軍の脱走兵を追う兵士を描いた骨太な社会派ドラマで、タイトルの「D.P.」=「Deserter Pursuit(脱走兵の追跡)」は、韓国陸軍憲兵隊の部署の名称だ。主人公を演じたチョン・ヘインも同賞の最優秀男性演技賞にノミネートされるなど、作品は高い評価を受けた。

■『D.P.-脱走兵追跡官-』の見どころ、韓国での評判は?

 物語は、脱走兵の追跡部隊(D.P.)に配属された新人二等兵のアン・ジュノ (チョン・ヘイン) が、上官兼相棒のハン・ホヨル (ク・ギョファン) とともに、複雑な事情を抱えた脱走兵を追っていく過程で直面する過酷な現実を描いていく。

 この二人の個性的なキャラクターに加えて、上官軍曹役にはキム・ソンギュン、憲兵隊長補佐官には『私たちの解放日誌』『犯罪都市2』などで今人気急上昇中のソン・ソック。さらに脱党兵のイ・ジュニョン、後述するチョ・ヒョンチョルら、出演者たちの迫力ある演技やアクションなど、スリリングなストーリーを含めて随所に見ごたえがある。

 韓国と日本の両国で映像関係の仕事に長年携わるコンテンツ・プロデューサーの尹勝鏞(ユン・スンヨン)氏は、配信当初から韓国国内で様々な反響があったと語る。

「韓国社会で長年にわたりアンタッチャブルだった軍隊という組織の問題を、ここまで赤裸々に描いたTVドラマは今までなかったと思います。誰もが見て見ぬふりをしてきた暴力構造とそれによる犠牲者の存在、そしてその根本的な原因を複数のエピソードとキャラクターでリアルに描いていることが、多くの韓国人の胸を揺さぶりました。このような作品が堂々と評価されるようになったのは、韓国社会が成熟した証なのではないでしょうか」(ユン氏)

Netflixシリーズ『D.P.-脱走兵追跡官-』独占配信中