■物語のリアルさと切なさが際立つ類を見ないドラマ、脇の出演俳優にも注目!

『D.P.-脱走兵追跡官-』の原作はウェブ漫画『DP 犬の日(原題)』だ。

「演出・脚本を手掛けたハン・ジュニが、原作を大胆にアレンジしました。チョン・ヘインの相棒役ク・ギョファンと、ソン・クック演じる大尉は原作にはいないキャラクターです。ク・ギョファンのセリフなど笑える場面もありますが、物語全体はよりリアルに、より残酷で、切ないストーリーになっています。

 じつは韓国ではあまりの反響に軍がかなり困惑し、『劇中の描写は昔のもので、現在は改善されている』といった苦しい弁明のような声明を出したほどです」(ユン氏)

 冒頭で紹介したように、本作は百想芸術大賞で作品賞のほか、男性助演賞と男性新人賞を獲得した。

「百想芸術大賞の助演男優賞を受賞したチョ・ヒョンチョル(脱走兵チョ・ソクポン役)の鬼気迫る演技は必見です。完璧に役を消化し、主演のチョン・ヘイン、ク・ギョファンを圧倒するほど、難しいキャラクターを演じ切りました」(ユン氏)

 また、チョン・ヘインの相棒として、シリアスな物語中でひょうひょうとしたキャラクターを巧みに演じたク・ギョファンは同賞の男性新人賞を獲得。チョン・ヘインはインタビューで、撮影現場ではク・ギョファンにたくさん笑わされたと語っている。

Netflixシリーズ『D.P.-脱走兵追跡官-』独占配信中

 ク・ギョファンは1982年12月14日生まれで、TV部門では新人賞枠だが、長く映画界で俳優、監督や脚本家としても活躍してきた韓国エンタメ界注目人物だ。百想芸術大賞の映画部門では、すでに4年前に新人賞を獲得している(第58回『夢のジェーン』)。

 ヨン・サンホ監督の映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』の民兵部隊ソ大尉役や、Netflixスペシャル『キングダム:アシンの物語』でも強烈な印象を残したク・ギョファン。日本で7月に公開される「釜山国際映画」4部門受賞作の『なまず』では、主人公演じるイ・ジュヨン(『梨泰院クラス』『ベイビー・ブローカー』)の彼氏役として出演するほか、脚本など制作スタッフとして参加している。

 さらに、今年の百想芸術大賞の映画部門で大賞を獲得した『モガディシュ 脱出までの14日間』では北朝鮮側の重要な役どころで出演。ヨン・サンホ監督が共同脚本を務める新作ドラマ『怪異』に出演中のほか、このあとも新作が何本も控えており、映画からドラマまでまさに大ブレイク中。ク・ギョファンの今後の活躍から目が離せない。

 韓国でも海外でも高い評価を受けた『D.P.-脱走兵追跡官-』は、シーズン2の制作がすでに発表になっている。個性的なキャラクターたちとリアルなストーリー、新たなキャスティングも楽しみだ。

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