韓国ドラマが持つ極上なエンタメ性が凝縮された作品

『アンナラスマナラ -魔法の旋律-』の具体的なストーリーを見てみよう。

 高校生のユン・アイ(チェ・ソンウン)は妹と2人暮らし。いつも生活に困窮している。父が事業に失敗して行方不明になっているからだ。

 けれど、アイは数学で天才的な頭脳を持っている。それは、教室で机を並べている同級生のナ・イルドゥン(ファン・イニョプ)が嫉妬するほどだ。とはいえ、イルドゥンの総合点は全学年で1位。彼も典型的な秀才であった。

 しかし、裕福な家庭で育つイルドゥンと違って、アイはその日の食費にも困るほどだった。そんな彼女を狙ってくるコンビニのおやじ店長やいかつい人相の借金取りにアイが苦しめられていると、救世主のように現れてくれたのが魔術師のリウル(チ・チャンウク)だ。

 彼は廃れた遊園地に住んでいる。そして、夢をなくした人の前に現れてマジックのようなワザでピンチを救ってくれる。そのときの決まり文句が「あなたは魔術を信じますか?」であり、人を幸せにする呪文が「アンナラ、スマナラ」だった。

 かくして、金でアイを買収して数学の学年1位を狙うイルドゥンの心の闇、何かを予感させる同級生失踪事件の行方、魔術師として不可能を可能にする超絶な男リウルの本当の素性、アイの家族の辛い話……などのエピソードが、独特な音楽シーンをはさんだ物語の中で次々に展開されていく。

 全6話だが、中身がとても濃い。演出、脚本、俳優、音楽の四拍子が揃っている。まさに、韓国ドラマは俳優の演技と美しい映像とリズミカルな音楽を理屈抜きで楽しめる極上のエンタメ……それを再認識させてくれるドラマが『アンナラスマナラ -魔法の旋律-』なのである。

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