■『優雅な世界』ハン・ジェリム監督(2007年)
主演作のなかでは認知度が低いほうだが、ソン・ガンホの演技がたっぷり楽しめる佳作である。
夫であり父である男がヤクザから足を洗おうとする話なので、日本映画『竜二』を思い出すが、同作の主演・金子正次(故人)と比べるとずっとコミカルなキャラクターだ。カナダで暮らす家族から送られてきたビデオを見ながら麺をすすり、涙ぐむシーンは本当は同情すべきところなのだが、そこはソン・ガンホ。どうしても笑ってしまう。
本コラムで前回、ソル・ギョングとのライバル関係について書いたが、本作と前年のソル・ギョング主演作『熱血男児』(2006年)は、ともに人間味のあるヤクザ役、敵役が同じ俳優(ユン・ジェムン)という共通点があるので、二人の個性の違いを楽しむことができる。
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