■多重人格者の御曹司を演じた大ヒット作『キルミー・ヒールミー』

 演技派チソンを堪能できる作品といえば、『キルミー・ヒールミー』だろう。多重人格で7つの人格に悩まされている財閥御曹司ドヒョンと、ひょんなことから彼の主治医となる新米女性精神科医リジン(ファン・ジョンウム)が繰り広げるロマンチックコメディで、この年のMBC演技大賞で、大賞、最優秀男性演技賞(もちろんチソン)など12冠に輝いた大ヒット作だ。

 見どころは、チソンの七変化。礼儀正しく、頼まれたことはイヤと言えない主人格ドヒョンが、個性豊かな別人格たちの尻拭いをする様が哀れだったり、笑えたりと、知らぬ間に主人格プラス7人格の虜に。特に、別人格のリーダー的存在の危険な男セギのセクシーさにドキドキさせられること必至。また、イケイケ女子高生人格ヨナでは、女装できゃぴきゃぴキャラを演じて爆笑させられっぱなし。パク・ソジュン演じるヒロインの双子の兄に猛アタックする様がおかしく、チソン×パク・ソジュンで「ベストカップル賞」に輝いたほどだ。

 ほかにも。陽気なアロハ男やシニカルなアート男子など、様々な人格を演じ分けていくチソンにあっぱれ。ちなみに本作、最初にオファーされたヒョンビンが断ったため、チソンが演じることになったという裏話も。難しいキャラをしっかり自分のものにしているところ、さすがチソンである。お調子者だが実はある秘密を隠している、重要な脇キャラを演じたパク・ソジュンも必見の名作だ。

『キルミー・ヒールミー』ⓒ2015 MBC

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ⓒ2015 MBC

■日本でもリメイクされたファンタジーロマンス『知ってるワイフ』

 日本でも大倉忠義×広瀬アリスでリメイクされたファンタジーロマンス『知ってるワイフ』(2018年)。結婚5年目の倦怠期を迎え、鬼嫁と化した妻に悩まされていた夫が、妻と出会う12年前にタイムスリップしてしまったことから始まる夫婦の再生劇で、 シリアスでドラマチックな役どころが多かったチソンには珍しい “平凡な家庭人”役。

 子育てに追われて殺気立つ妻の尻に敷かれたり、タイムスリップして同僚となった若き日の妻が気になって仕方なかったり、ちょっと頼りないリアルな“夫”感が、共感度を誘う。妻役が『私のブルース』のハン・ジミンと、演技巧者2人のやり取りも観ていて心地よい。ほかに、妻の母役を演じたイ・ジョンウンとのやり取りも泣かせるものが。等身大でソフトなチソンもぜひチェックしてみてほしい。

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