Netflixで話題の韓国ドラマペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』の強盗団の司令塔である通称「教授」は、俳優ユ・ジテ(1976年生まれ)のハマり役だった。

 80年代風のフレームの大きなメガネはダサいのか、逆におしゃれなのかよくわからない。口元は笑っていても、レンズの向こうの目はどこか悲しげだ。

 雨の夜、教授(ユ・ジテ)がトーキョー(チョン・ジョンソ)を強盗に誘う場面。

 教授「小金を盗んでも、殺されるか刑務所に入れられるがオチだ。だが、莫大な金を盗めば、世の中も変えられるし、英雄にもなれる」

 トーキョー「いくら盗めば世の中が変わるの?」

 教授「4兆ウォン」

 トーキョーやベルリン(パク・ヘス)ら8名は4兆ウォンに釣られてやってきたが、教授の真意はわからない。たんなる金目当てではなく、いわくありげに見えるところがユ・ジテのユ・ジテたる所以だ。

 今回から2回に渡り、ミステリアスな俳優ユ・ジテの魅力を、彼の映画デビュー作からさかのぼってみよう。

現実の軍事境界線付近にある都羅展望台の施設分布図。窓の向こうは北朝鮮だ。ドラマに出てくるJEA(共同経済区域)は汶山と開城の中間辺りにある設定だったので、統一造幣局もこの辺りにあると見てよいだろう
南北統一を見据えて建てられた都羅山駅。現実にはソウルからの鉄路はここで途絶えているが、ドラマでは新義州から南下する列車がトーキョー(チョン・ジョンソ)を乗せてここを通り、ソウルに到達していた
都羅山駅のホームには、ソウルと平壌までの距離が示されている