南北統一へのステップとして実現したJEA(韓国と北朝鮮の共同経済区域)を舞台とした韓国ドラマ『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』は、南北の往来が可能になるとどうなるかが第1話の冒頭わずか6分で描かれていて大変興味深い。今回は劇中、テレビのニュースが報じていた北からの移住者に対する反対運動に着目してみよう。
■北朝鮮からの移住者に反対する韓国の人々
『ペーパー・ハウス・コリア』第1話では、のちに4兆ウォン強奪を目論む強盗団に入り、 “トーキョー” を名乗る平壌娘(チョン・ジョンソ)が北から南へ列車で向かう。車内ではJEAドリームを夢見る人たちが声を弾ませる様子が描かれているが、現実に北から南へ多くの人が流入すると、さまざまなトラブルが予想される。
劇中、テレビの画面に映ったのは、「韓国庶民を搾取するアカ(社会共産主義者に対する蔑称)は帰れ!」「貧富格差を助長する政策を撤廃せよ!」などと書かれたプラカードを手にデモ行進する人々。テロップには、「北朝鮮移民政策の再検討を要求するデモ隊」とある。アナウンサーは、「南北経済協定が締結されJEAが実現し、北朝鮮から流入する多くの移民に対する韓国民の反感を示す動きが高まっています」と伝えている。
アメリカがいい例だが、移民が増えると、既存の労働者の職が奪われたり、社会保障制度の負担が大きくなったりするという懸念が生まれるので、それに反対する人々は当然出てくるだろう。デモ隊のなかに星条旗を振る人が多いのは、南北統一に慎重論を唱えそうな米国を支持するという意思表示だろう。