■『青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~』では哀しい父親役
『青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~』(2006年/イ・ハン監督)は、大学の体育学科テコンドー専攻の主人公(クォン・サンウ)、幼なじみの同窓生(キム・ハヌル)、同じテコンドー専攻の友人(イ・サンウ)の三角関係の物語。
チョン・ギュスは主人公の父親役で、小説を書いたりしているが、酒好きで事実上の無職。家に遊びに来た息子の友人に金を無心する情けない男だ。息子を愛していて過干渉気味だが、現実には何もできない哀しい父親の演技にはリアリティがあった。
■お調子者の支局長役がハマっていた『ラジオスター』
『ラジオスター』(2006年/イ・ジュニク監督)でチョン・ギュスが演じているのは、落ちぶれて素行不良のレコード大賞歌手(パク・チュンフン)を新番組のDJとして迎え入れる放送局の地方支局長。
地方に飛ばされて出世をあきらめ、ことなかれ主義でやってきたのに、過去の栄光にすがる歌手とやる気が空回りしているマネージャー(アン・ソンギ)、トラブルを起こして本局から左遷されたPD(チェ・ジョンユン)を受け入れることになり、常にイラついている支局長はハマり役だった。
PDが新たな企画を提案すると反対しかしない男だが、あることをきっかけにラジオ番組がブレイクすると急に態度が変わる。そんなお調子者の演技は、チョン・ギュスの真骨頂だ。