■人望の厚い科学者を演じた『約束の恋人』、正義感に目覚める新聞記者役『ハッシュ~沈黙注意報~』
2012年の『約束の恋人』は、激動する南北情勢に翻弄される男女の愛を描くラブアクション作。ここでのファン・ジョンミンの役柄は、人望の厚い科学者ミョンジュンだ。
軍事クーデターや両国のスパイ合戦に巻き込まれながらも、愛する人や仲間を守るために奔走し、やがては大統領候補へと担がれる男を誠実に演じているファン・ジョンミン。どんな逆境でも、信念をもって動く姿に、おのずと引き込まれていく作品だ。
新聞社を舞台にした社会派ヒューマンストーリーの『ハッシュ~沈黙注意報~』(2020年)も正義のために戦うファン・ジョンミンが堪能できる作品だ。
仕事への情熱を失っていた中堅記者ジュンヒョク(ファン・ジョンミン)が、イム・ユナ(少女時代)演じる新人記者ジナとの出会いを経て、もう一度、正義や真実のために戦う道を選ぶことになる。
過去に因縁のあるジョンヒョクとジナの凸凹師弟の関係、組織の中で生き残るためにさまざまな選択をしてきたのち、ジュンヒョクともに再び戦うことを選んだ人々の姿をしっかり追っていきたい。設定はいたって王道、かつ、ちょっと展開にまどろっこしさもあるが、セリフが端々で刺さること請け合いだ。
●ファン・ジョンミンProfile
1970年9月1日生まれ。180cm。ソウル芸術大学在学中の1990年、映画『将軍の息子』に出演。卒業後は演劇やミュージカルを中心に活動。『ハムレット』『地下鉄1号線』『ジーザス・クライスト・スーパースター』や『キャッツ』などに出演していた。
主要キャストに抜擢された2001年の映画『ワイキキ・ブラザーズ』で大韓民国映画祭の助演男優賞を、翌年の『ロードムービー』が青龍映画祭ほかで新人賞を獲得。2005年、愛に一途な純朴青年を演じた主演作『ユア・マイ・サンシャイン』、特別出演だったにもかかわらず強烈な印象を残した『甘い人生』と真逆のキャラクターでその年の映画賞を席巻し、以降、映画界のトップランナーとして現在に至る。
『新しき世界』(2013年)で青龍映画賞の主演男優賞、『国際市場で逢いましょう』(2015年)、『工作 黒金星と呼ばれた男』(2018年)で大鐘賞の主演男優賞受賞。最新作『人質 韓国トップスター誘拐事件』(2021年)は現在、日本で全国ロードショー公開中。
一方で、ミュージカルや演劇にもコンスタントに出演しており、2012年のミュージカル『アサシン』では演出デビューも果たしている。