■弟分ハ・ジョンウと兄貴分との絡みがすばらしい『悪いやつら

『悪いやつら』(2011年/ユン・ジョンビン監督)は、コネしかない兄貴分(チェ・ミンシク)と侠気しかない弟分(ハ・ジョンウ)の因縁がテーマ。共演者を光らせる俳優というとイ・ジョンジェが思い浮かぶが、本作のハ・ジョンウとチェ・ミンシクもすばらしかった。

 何度ひどい目にあっても兄貴分にだまされる弟分。彼はヤクザとしてのしあがってきたが、心には大きな穴が空いていた。その穴を埋めるためには兄貴のような存在が必要だった。そんな男の弱さがこの映画の肝だと思う。ハ・ジョンウとチェ・ミンシクのバディムービーをまた別の作品で見てみたい。

『悪いやつら』で、ハ・ジョンウとチェ・ミンシクが子分を連れて敵対組織に殴りこむシーンが撮影された釜山観光ホテル前の通り

イ・ビョンホンぺ・スジ共演の『白頭山大噴火

『白頭山大噴火』(2021年/イ・ヘジュン、キム・ビョンソ監督)では、ハ・ジョンウ扮する軍人が韓国に残してきた妻(ペ・スジ)を思いながら危険地帯に潜入するところが、『ナルコの神』に通じる。

 強さと弱さを内包する演技に、彼の円熟味が感じられる。イ・ビョンホンとハ・ジョンウ、初の共演作という意味でも注目すべき作品だ。