韓国ドラマが大豊作の1年だった。

 次から次へと面白いドラマが登場してきて、「見たいけど見る時間がない」という嬉しい悲鳴を何度も出してしまった。

 こうなると、自分の視聴スタイルをもっと工夫しなければならない。「予想したほどでもなければ途中で離脱する」「ときには倍速で見る」「興味を持てない脇役のシーンは飛ばす」といった方法も試している。最初から最後までじっくり見るという人とは明らかに違うが、たくさんのドラマにアプローチするためにはやむをえない。配信サービスがこれだけ充実してくると、視聴スタイルも多様性があったほうがいいかも。

 そんな思いで2022年もたくさんのドラマを見たが、「主演級の俳優が本当に活動的な年だった」「大物の脚本家の作品を含めて優れたシナリオのドラマが多かった」「ますます映像のスケールやアングル・照明のクォリティが高くなった」といったことを痛感した。

 韓国ドラマが「世界標準」になった。言語が違う世界中の人が見ているので、韓国ドラマでは以前にもまして「普遍性」がキーワードになっている。

 たとえ、特有の時代劇であっても、そこに人間の不変な心理と感情が込められていれば、誰が見ても琴線に触れる。そのことを制作陣が直視して世界の人が普遍的に楽しめる作品をたくさん作ってくれた。それが2022年の韓国ドラマ界の大きな収穫であった。

そんな1年を振り返って、自分なりにベスト5を選んで感想を述べてみたい。大評判の『財閥家の末息子』はまだ見ていないのでそれを除いて作品を選んでみた。

 ちなみに、2021年のベスト1は『赤い袖先』であった。さて、2022年のベスト5の顔ぶれはどのようになっているだろうか。

■韓国ドラマ2022年のベスト5!

●第5位『その年、私たちは

 見ていて、暖かいまどろみの中にいられるようなドラマだった。チェ・ウシクの自然体の演技に好感を持てたし、キム・ダミの歯切れがいい演技も良かった。第11話終盤の「2人が鍋の前で愛を確認しあう場面」は、俳優が感情表現の極致を見せてくれた。他にも、幸福感にひたれるシーンが多かった。(※放送は2021年12月~2022年1月だが、2022年の作品に選出)

『その年、私たちは』画像出典:SBS

●第4位『シュルプ

 キム・ヘスが20年ぶりに時代劇に出たことで話題になっていたが、これほど王妃を烈しく迫力満点で演じた女優は過去にいなかった。設定が架空の時代劇。しかし、「王妃と大妃の対立」「王族男子の育て方」「国王と高官の権力闘争」が実録時代劇以上にリアルで、史実を超える王宮物語になっていた。

『シュルプ』画像出典:tvN