Netflix配信で注目を集める韓国ドラマ『昼と夜』。人気カリスマ俳優ナムグン・ミンが主人公のエリート刑事に扮した、スリリングなミステリーサスペンスだ(2020年~2021年制作)。
短髪&髭、日に焼けた肌、鋭く研ぎ済まれた風貌、そのワイルドな魅力に驚いた人も多いと聞く。たしかに、ナムグン・ミンの前後の作品『ストーブリーグ』(2019年~2020年)や『黒い太陽〜コードネーム:アムネシア〜』(2021年)のスタイルを見ても三役三様、その徹底した役作りはもはや芸術の域だ。
南宮民(ナムグン・ミン)。韓国ではめずらしい漢字2文字の苗字をもつこの俳優の名を、年末の演技大賞で聞かない年はない。
コメディ、アクション、サスペンス、そしてヒューマンドラマまで、縦横無尽な活躍をみせる演技派の代表格。だが、韓国ドラマファンにその姿を知られるようになったころは、ヒロインに向けるソフトな微笑み&美しき肉体に魅了される「最強の二番手」俳優だった。
2006年のコン・ユ主演の『ある素敵な日』では、ソン・ユリ演じるヒロインに惹かれるジェントルマン。キム・ジェウォン&ファン・ジョンウム主演の感動作『私の声が聞こえる』(2011年)では、愛を渇望する影ありキャラを好演。その悲しみがひたひたと伝わってくる演技が評判となった。『抱きしめたい~ロマンスが必要~』『マイシークレットホテル』(ともに2014年)、ではヒロインをめぐる恋の三角関係を形成。いい人なのに報われない、そんな「最強二番手」「ロマンス俳優」の地位を確立する。
どちらからといえば静の演技で知られてきたナムグン・ミンの評価が変わったのが、立て続けに悪役を演じた2015年。特に、無尽蔵に暴れまわる“極悪”御曹司に扮した『リメンバー~記憶の彼方へ~』での、強烈なサイコパス演技は、「笑顔が怖い」とまでいわしめた。
次に生まれたのが、昨今のくせ者ヒーロー劇、「サイダードラマ(最後はスキッとする懲悪劇)」の先駆けともいえる『キム課長とソ理事〜Bravo! Your Life〜』(2017年)のキム課長だ。コミカルでクセの強い主人公キム課長。その大袈裟な顔芸のインパクトといったら!
異色かつ、唯一無二のキャラクターを演じたナムグン・ミンは、その後も、彼にしか作れないキャラクターで主人公街道を爆進。陰謀、権力、犯罪者、世論、さまざまな社会悪と戦いを繰り広げている。
今回は、人気実力ともに評価の高い演技大賞受賞作を中心に、痛快コメディ、ヒューマン劇、アクション大作と、ナムグン・ミンの七変化が楽しめる4作を紹介したい。
●ナムグン・ミンProfile
1978年3月12日生まれ。2001年に映画『バンジージャンプをする』でデビュー。2004年の長編劇『かけがえのない我が子』でドラマ初主演。本文で紹介した作品のほかに、『ホジュン~伝説の心医』(2013年)、『操作』(2017年)、『恋のトリセツ~フンナムとジョンウムの恋愛日誌~』(2018年)、『ドクター・プリズナー』(2019年)。映画『卑劣な街』(2006年)、『ビューティフル・サンデー』(2007年)など、多くの作品に出演。
2023年は朝鮮王朝時代を舞台にしたロマンス劇『恋人』で、久々に時代劇演技を披露する。共演は『賢い医師生活』のアン・ウンジン。現地MBCにて下半期公開予定。