●『赤と黒』シム・ゴヌク(キム・ナムギル

 幼い頃に、自身の人生を無茶苦茶にした財閥一家への復讐に人生をかけた男の壮絶なストーリー。すべてを奪ったホン家に復讐すべく、一家の2人の娘に接近し、罠にハメていく“悪い男”ゴヌクを演じたキム・ナムギルの危険な魅力にむせかえるほど。

「キケン!近寄るな」警報が常に鳴っている状態で、敵に回すと骨抜きにされて捨てられるという、とんでもなく厄介なキャラクターだ。人生に一度くらいそんな罠にハメられたいと思わないわけでもないが、それにより一家崩壊の危機もありえるので、穏やかに暮らしたい人は避けておくべきタイプ。

*『赤と黒』U-NEXTほかで配信中

★番外編

●『魔王』オ・スンハ(チュ・ジフン

 貧しい家庭の下で心優しく育つも、少年時代のある事件により、家族を奪われ、憎しみに囚われた青年弁護士が、12年の時を経て、事件に関わる人々への制裁を繰り広げていく復讐サスペンスの傑作。復讐のために生きてきた男と、過去の罪に苦悩する男、復讐者と加害者の双方の視点から描かれた心理描写が胸を揺さぶる。

 とはいえ、チュ・ジフン演じる人権派の弁護士スンハが、違う名前の人物として生き、虎視眈々と1人1人を裁くための計画を遂行していく緻密さは、『ザ・グローリー』のドンウンに勝るとも劣らず。殺人の予告としてタロットを送りつけるやり方は、まさに「制裁」で、背筋が凍る。

 不幸な人であり、ラストは号泣ものだが、こういう人を生まない(あるいは救える)世の中でありたいと思わされる。

*『魔王』U-NEXTほかで配信中