『怪物』の見どころはなんといっても、田舎の濃密な人間関係に翻弄されながら、“怪物”逮捕のために彼ら自身も“怪物”へと変化する刑事を演じた、シン・ハギョンとヨ・ジングの“演技モンスター”ぶりだ。

 本作で百想芸術大賞演技賞を受賞した超演技派俳優シン・ハギュンの演技には、ひたすら圧倒される。1974年5月30日生まれで、『JSA』『エクストリーム・ジョブ』など数多くのヒット映画に出演している。

 子役から青年俳優に成長した若手演技派ヨ・ジングも負けていない。爽やかなイメージを封印して、冷徹な刑事役に徹して気迫あふれる熱演を見せている。

 ヨ・ジングは1997年8月13日生まれ。子役出身で、弱冠25歳ながら芸歴は17年余に及ぶ。落ち着いた低音ボイスと豊かな演技力、子役とは思えぬ色気を感じさせる実力派として、『イルジメ〔一枝梅〕』や『太陽を抱く月』など、数々のヒット作品に出演。その後、成人俳優として、時代劇からロマンス作まで幅広く活躍している。主な出演作に、時代劇ロマンス『王になった男』、IUと共演したファンタジーロマンス『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』、恋人ロボットを演じた『絶対彼氏。<完全版>』などがある。

『イカゲーム』『カジノ』『<ミッキ>』と大躍進中のホ・ソンテ、『愛の不時着』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の名脇役チェ・デフン、『地獄が呼んでいる』『財閥家の末息子~Reborn Rich~』のキム・シンロクなど、癖のある脇役を演じた助演陣にも注目だ。短いシーンながら、イ・ドヒョンがシン・ハギュン演じる主人公の少年期を演じているのも見逃せない。

 地方の閉鎖的な空気感、怪しい登場人物たち、猟奇事件の真相など、スリリングで緻密なストーリーにも引き込まれる。演出を手掛けるのは、Wanna One出身オン・ソンウ主演作『十八の瞬間』や、Netflixで4月26日から配信される新作『良くも、悪くも、だって母親』への期待も高まるシム・ナヨン。脚本は『マッド・ドッグ~失われた愛を求めて~』『錐』のキム・スジンが手掛けている。