■『良くも、悪くも、だって母親』イ・ドヒョン扮するガンホ、2つの涙にもらい泣き
『良くも、悪くも、だって母親』は、幼い頃から母に過度なほど厳しく育てられ、優秀かつ冷徹な検察官となった息子ガンホが、不慮の事故により記憶を失い、7歳の頃に戻ってしまうことから物語は始まる。息子のために再び“悪い母“になろうと決心した母ヨンスンを、名優ラ・ミラン(『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』)、大きな体で無邪気な幼子に戻ってしまったガンホを『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』でも注目を集めたイ・ドヒョンが演じている。
思わずもらい泣きしたのは、第7話、母ヨンスンがガンホをリハビリ専門施設に預ける場面だ。母に置いていかれると思ったガンホは、大粒の涙をぽろぽろとこぼし、「母さん、ごめんなさい。母さんの言うことを聞きます」「僕も連れて行って」と、まるでのいたいけな子供のように(7歳児に戻っているのだから、そうなのだが)おいおいと泣くものだから、抱きしめてあげたくなってしまう。
一方で、過去の回想シーンでは、ある理由から恋人ミジュ(アン・ウンジン)に別れを告げ、去っていくガンホの涙が印象的だった(第9話)。彼女に背中を向けたまま、平然と会話を続けながら、ガンホの頬につーっと伝う涙が胸を締め付ける。わずか一瞬の場面だが、“大人”ガンホのミジュに対する深い愛と切実な決意がその涙に溢れていて、彼の幸せを願わずにはいられない。
18歳の体に戻ってしまった36歳のおじさんを演じた『18アゲイン』から、激動の時代の切ない愛を体現した『五月の青春』まで、幅広い役どころで、多様な涙演技を見せてきたイ・ドヒョン。本作でも、役者としての優れた才をびしばし感じさせている。
●配信情報
Netflixシリーズ『良くも、悪くも、だって母親』独占配信中
(全14話/毎週金・土1話ずつ配信)
演出:シム・ナヨン 『怪物』『十八の瞬間』 脚本:ペ・セヨン 映画『完璧な他人』『エクストリーム・ジョブ』
出演:ラ・ミラン、イ・ドヒョン、アン・ウンジン
ほかに、『愛だと言って』のハン・ドンジン(キム・ヨングァン)が、シム・ウジュ(イ・ソンギョン)との別れの場面で、彼女を抱きしめながら、必死で耐えていた涙が赤くなった目の淵に溜まっていく“抑え泣き”も、心を揺さぶる名演技だったことを記しておきたい。
●配信情報
『愛だと言って』
ディズニープラス スターにて配信中
演出:イ・グァンヨン『初対面だけど愛してます』 脚本:キム・ガウン
出演:キム・ヨングァン『初対面だけど愛してます』『サムバディ』、イ・ソンギョン『浪漫ドクター キム・サブ2』『浪漫ドクター キム・サブ3』、ソンジュン『アイランド』『君のハートに魔法をかけろ』