泣きの演技は難しい。大袈裟に泣けば嘘っぽく見え、かといって美しく泣けばいいわけでもない。だが一方で、激しく心揺さぶられる泣きの演技もある。

 ここ数年で印象的だったのは、『二十五、二十一』のナム・ジュヒョク扮するペク・イジンの苦悩の涙、『ビッグマウス』のイ・ジョンソク演じるパク・チャンホの怒りの涙、『赤い袖先』のイ・ジュノ2PM)演じるイ・サンの決意の涙、そして、『悪の花』のイ・ジュンギ演じるト・ヒョンスの赤子が泣きじゃくるような悲しみの涙も、脳裏に焼き付いている。

 そして、最近、久々にグッと心を掴まれた涙演技が、2つある。1人は、『浪漫ドクター キム・サブ3』の外科医ソ・ウジン(アン・ヒョソプ)の涙。もう1人は、『良くも、悪くも、だって母親』の検事の息子チェ・ガンホ(イ・ドヒョン)の涙だ。

■『浪漫ドクター キム・サブ3』アン・ヒョソプ演じる医師ウジンの心揺さぶる涙

『浪漫ドクター キム・サブ3』は、“神の手”を持つ変わり者の天才外科医“キム・サブ”(ハン・ソッキュ)と若き医師たちが繰り広げるメディカルロマンスの大ヒットシリーズで、2020年に放送されたシリーズ2作目に続き、アン・ヒョソプ(『社内お見合い』)演じる類まれな手術の才を持つ一般外科医ソ・ウジンと、イ・ソンギョン(『愛だと言って』)扮する胸部外科医チャ・ウンジェがメインキャラとして登場し、「救える命のために全力を尽くす」というキム・サブの信念を引き継いでいる。

 とりわけキム・サブの信頼を得て、その右腕的存在とまでなったウジンだが、第9話では老朽したビルの崩壊事故現場に緊急出動し、二次災害に巻き込まれることに。建物の地下に残された生存者を助けるために建物の中に入り、患者をかばって左手に鉄筋が突き刺さってしまうのだ。

 手と言えば、外科医の命。その神経を失うかもしれないことを知りながら、患者を助ける選択をするウジン。駆けつけたキム・サブに自身の意思を伝えたウジンが、痛みに耐えて処置を終えた瞬間、キム・サブの腕の中で泣き崩れる姿は、思い出しても涙がこみあげてくる(第10話)。圧巻の演技だった。

 シリーズ2作目で見えたトラウマと葛藤するウジンの涙も心打つものがあったが、本作ではさらに演技に深みが増し、俳優アン・ヒョソプの進化を感じる。

●配信情報

『浪漫ドクター キム・サブ3』

ディズニープラス スターにて配信中(全16話/毎週金・土1話ずつ配信)

(C)SAMHWA NETWORKS & STUDIO S. All rights Reserved.

演出:ユ・インシク『浪漫ドクター キム・サブ』『浪漫ドクター キム・サブ2』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」、カン・ボソン『なぜオ・スジェなのか』 脚本:カン・ウンギョン『製パン王キム・タック』『家族なのにどうして〜ボクらの恋日記〜』、イム・へミン

出演:ハン・ソッキュ『根の深い木―世宗大王の誓い―』、アン・ヒョソプ『社内お見合い』、イ・ソンギョン『愛だと言って』、イ・ギョンヨンクイーンメーカー』『アゲイン・マイ・ライフ〜巨悪に挑む検事〜』

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