――映画の中には事件当時の回想場面が何度も登場しますが、ユ・ミンホの語る過去とヤン・シネの語る過去のディテールが少しずつ違います。俳優たちは同じように見えて微妙に違うシーンを演じなければならず、難しかったのではないでしょうか。

 映画の主要な空間はユ・ミンホとヤン・シネがいる別荘ですが、フラッシュバックとしてユ・ミンホと恋人のキム・セヒが交通事故を起こす山道、2人が事件に遭ったホテルといったさまざまな場所が登場します。まずはそうした場所のシーンを先に撮り、編集した映像を俳優たちと見ながら、別荘での撮影を行いました。

――ソ・ジソブさんと映画を撮影して新たに発見したことは?

 これまで演じてきた作品やキャラクターとかなり違うので、ジソブさんも私もいろいろ心配していましたし、だからこそ挑戦してみたいという欲もあったと思います。事前に十分にリハーサルをして撮影に臨みましたが「こんなこともできるのか。こんなに準備をしてくれるのか」とびっくりしました。ジソブさんも撮影しながら楽しかったようです。

――ユ・ミンホが着ていたセーターがとても印象的でした。衣装や美術はどのような点にこだわったのでしょうか?

 人物中心の映画なので、衣装やヘアスタイルには神経を使いました。ミンホがなかなか正直に“自分の内面を見せない”ということを表現するためにセーターを選びました。ミンホの衣装は全体的に体にぴったりとしているというのがコンセプトで、ゆとりのある服はほとんどありません。彼自身が事件に巻き込まれ、追われているという感じを与えるため体にフィットした服を選びました。

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