韓国でボクスンという名前はかなり古めかしく、今ではあまり使われないが、犬にはつけることが多いらしい。日本で言えば、ハナコやフク(ボクスンを漢字で書くと、おそらく福順)のような名前だ。ここで、チョン・ドヨンが面白いエピソードを語った。
「ボクスンという名前を変えてほしいと、最初は監督にお願いしたんです。犬の名前みたいで嫌だから、じゃないんですよ。実は私の叔母の名前が、ボクスンなんです。殺し屋の名前で、タイトルにもなっているから、叔母が嫌がるだろうと思ったんですが、監督に説得されました」
叔母さんは、映画を気に入って喜んでいるそうなので、心配は杞憂だったようだ。それよりチョン・ドヨンが大変だったのは、ファン・ジョンミン演じるヤクザとのシーンで激しいアクションをしながら、ボクスンが時折笑顔を見せるところだったそう。
監督は「コミカルな要素も欲しかったですし、チョン・ドヨン先輩は子供のように笑うので、その笑顔が欲しかった。でも、それが先輩には難関だったようで、僕が演技指導をしなければならない、唯一のところでした」と語ると、チョン・ドヨンは「本当に難しかったですね。私は必死で戦っているので、笑う余裕が全然なかったんです。なかなかうまくできなかった」と答えた。
観客から「脚本にあって、映画にないシーンはありますか?」という質問には、監督が「実はエンディングが少し違うんです。脚本の段階では、ボクスンと娘がチーターの親子のドキュメンタリー番組を観ているシーンで終わっていたんです。狩りの仕方を母チーターが娘に教えている、という番組を考えていたんですが、撮ることはしませんでした。エピローグとして入れようと思ったんですが、少し明る過ぎる気がして。これは娘が母に心の扉を開くまでの物語ですから」と語った。
また、チョン・ドヨンは「明るい終わり方も悪くないと思いますが、今の結末で良いと思いますね」と語り、さらにボクスンと娘の関係はそれほど、世間から隔絶していないとも語った。「どんな家族の間にも秘密はあると思うんです。そして、お互いが相手の秘密を知っていても、気づいてないふりをする。家族って、そういうものではないでしょうか」
他にもユニークなトークイベントや、GV(ゲスト・ビジット)があったので、続きは次回に。