ドギムの潔白は、英祖の証言で明らかになるが、このやり取りにより、幼い頃に出会った少女がドギムと気づくサンの表情も印象的だ。

　わけもなく惹かれ、どうしようもなく求めてしまう女性は、「あの日、あのときの、運命の女性」だったとわかった今、サンの想いは「彼女しかいない」という確信に着地する。

　そして、「私の名前はサンだ」と告げ、自分があの日に出会った少年であることをドギムに明かすサン。

　それまでは「王」として強引にでもドギムを「私のもの」としようとしていたサンが、イ・サンという一人の男としてドギムに向き合い、優しく愛おしく抱きしめる。初恋の少女を見つけたサンの顔には、王としての険は消え、柔らかで温かな愛情に満ちている。

　王となる者のカリスマから一転、ごく平凡な恋する男の姿に変わっていくイ・サンの人間味を、1話のなかで体現したジュノの表現力に脱帽だ。

　ちなみに、ドラマの原作小説では、ドギムが暎嬪イ氏の遺品を持っていることを告げ口するのは、サンの2番目の側室・和嬪（ファビン）ユン氏。英祖亡き後の話となっており、誰がどのようにドギムの無実を証明し、その際、サンがどのような態度をとったか、原作でのエピソードもスリリングで興味深い。

●作品情報

『赤い袖先』

［2021年／全17話］※TV放送は全27話　

演出：チョン・ジイン、ソン・ヨナ　脚本：チョン・ヘリ

出演：ジュノ（2PM）、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ

DVD＆Blu-ray販売元 ‏: ‎NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン