デビュー25周年を来年に控え、一足先に韓国を代表する放送局KBSの50周年とともに記念した盛大なコンサートを9月末に開催したgod 。godはK-POP黎明期に、J.Y.Parkが初めてプロデュースした男性グループであり、その人気から「国民グループ」と呼ばれたレジェンドだ。

 そのメンバーであり、現在は俳優としても活躍するユン・ゲサン。最新作『誘拐の日』(Prime Videoにて独占配信中)では、娘の治療費を稼ぐために誘拐に加担することになった気弱な中年男を演じている。

■ユン・ゲサンの魅力とは?元祖演技ドルから演技派俳優の道へ

 1978年12月20日生まれのユン・ゲサンは、ボーイズグループ、godのメンバーとして1999年にデビュー。「母へ」「ろうそく1本」「嘘」「道」など、ミリオンセラーを連発させ、国民グループとして絶大な人気を誇っていた。

 そんな彼に『僕らのバレエ教室』(2004年劇場公開)の出演オファーが届く。ひょんなことから演技に興味をもったゲサンだが、当時の風当たりはあまりに強かった。

 今でこそ、“演技ドル”と呼ばれ、歌手活動と俳優活動を両立するアイドルがもてはやされるが、演技活動=グループやファンへの背任行為とみなされたのだ。結果、ユン・ゲサンは芸能界引退をも考えgodを脱退。続いて『僕らのバレエ教室』公開直後に入隊してしまう。

 2007年、除隊後から本格的に俳優の道へ。加害者と被害者の妻による禁断の愛を描く『愛に狂う』で大人のロマンスに挑んだことを皮切りに、幽霊に憑依された男をコミカルに演じた『どなたですか?』(2008年)、ソ・ジソブキム・ハヌルと共演した骨太ドラマ『ロードナンバーワン』(2010年)、最高の見守り男子だった『最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜』(2011年)や大人の色香を見せた『グッド・ワイフ〜彼女の決断〜』(2016年)、大人のファンタジーロマンス『キス・シックス・センス』(2022年)とジャンルを問わない活躍を続けている。

 一方で映画界でも活躍。2017年の『犯罪都市』の新興ヤクザの狂犬ぶりで世間を驚かせ、2019年の『マルモイ ことばあつめ』の、「国と言葉を守る」そのひとつに邁進した男の姿は多くの人の涙を誘った。

 イメージが固まるのを極端に嫌い、ストイックなまでに常に新しいものに挑み続け、いつしか「演技派俳優」と呼ばれるようになったユン・ゲサン。一方で、2014年からgodに再合流。本格的に歌手活動も再開し、マルチな活動を続けている。

 俳優ユン・ゲサンの最大の魅力は、どんなジャンルでも作品の中に溶け込んでいくところではないだろうか。

 もともとは華々しいセンターにいた人だが、カッコ悪いこともいとわず、むしろその気配を消すこともうまい。本人が特技と称する“表情演技”も見どころ満載。 “顔芸“的大げさな表情をしてもそれがうるさすぎないめずらしい人だ。

 自身をキャラクターに寄せていくため、作品ごとに肉体サイズにもヘアスタイルにも変化があるが、どんな衣装も着こなすセンスもある(とくスーツの着こなしは絶品!)。

 趣味は運動と語っていたこともあり運動神経も抜群で、映画『スプリットウォーカー』(2022年)ではノースタントで接近戦からカーアクション、ガンファイトまで演じきった。また、ちょっと古風な雰囲気を漂わせる風貌は、ノスタルジックな作品にもマッチする。