・『恋慕』 わけありの男装麗人
・『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』 自閉スペクトラム症の弁護士
・『無人島のディーバ』 15年間の無人島暮らしを経てソウルにやってきた田舎娘
もうお気づきだろう。優等生パク・ウンビンは、ひとクセある役、なんらかの十字架を背負った役、社会に適合しにくい人の役で光る女優なのだ。
ウ・ヨンウは、視点の定まらない目つき、たどたどしい話し方、サイズの大きい服などの演出が功を奏して、じつに魅力的なキャラクターだった。そう、パク・ウンビンには「崩し」が必要なのだ。
彼女が実人物に近い優等生を演じるとどうなるかは、キム・スヒョン主演映画『シークレット・ミッション』(2013年)を観るとよくわかる。パク・ウンビンが扮した下町のマドンナ(中小企業のOL)は美人だが、まったくといっていいほど印象に残らないキャラクターだった。もちろんそれが求められる役柄だったのだが。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のヨンウや『無人島のディーバ』のモクハは個性が強いキャラクターだが、パク・ウンビンがアップになっているシーンをストップモーションしてみてほしい。彼女の地の部分(ノーブルで聡明)が見て取れるはずだ。
役柄以前の存在感にそもそも曰くありげなチョン・ドヨンやキム・ゴウンら個性派女優とはまったく違うパク・ウンビン。当面の主演作では「崩し」のある役選びをしそうだが、今後は彼女の等身大に近い役柄で魅せられるかどうかが課題と言えるだろう。