■『無人島のディーバ』で主人公モクハが降り立った駅は?

『無人島のディーバ』でもモクハは当然、江原道に向かうものと思っていた。だが、予想は外れた。

 ムグンファ号に乗ったモクハが降りた駅の名は、「咸昌(ハムチャン)」。いかにも創作した駅名という気がしたのだが、私が知らない実在の駅、それも慶尚北道にある駅だったのだ。

 咸昌駅は韓国の領土のド真ん中辺り、干し柿で有名な尚州(サンジュ)市の北端、五味子で有名な聞慶(ムンギョン)市の南側に位置している。

 この十数年、ディスカバーコリアとばかりに国内を旅行する人が増えたので、今も乗降客が極端に少ないかどうかはわからないが、尚州や聞慶を観光するなら、ふつう咸昌駅では下車しないので、やはり僻地なのだろう。

 KTXをはじめとする高速鉄道網が整備されてから、目的地に一直線の旅が多くなった気がする。私もモクハのようにムグンファ号に乗って気まぐれ途中下車の旅がしたくなった。

咸昌駅のある尚州市は、干し柿(コッカム)が有名
咸昌駅のすぐ北側に位置する聞慶市の加恩駅(廃駅)は、レトロカフェとして再生され、人気の撮影スポットになっている