■手作りの韓国伝統菓子を楽しめる趣のある韓屋カフェ
2023年9月、春秋門の向かいにオープンしたばかりのカフェに立ち寄った。「アルムダウン韓屋ユジュ」という2階建ての韓屋カフェだ。
年配のご夫婦で切り盛りされている。注文はカウンターのタッチパネルで行うのだが、何を注文しようか迷っていたら、ご主人が心配そうに声をかけてきた。日本から来たことを告げると大歓迎してくれた。
温かみのある木製のテーブル、壁にかけられた伝統楽器のカヤグム(箏)、年季の入った食器棚の中にきちんと並べられた茶器などセンスの良さが光り、店内を眺めているだけでもワクワクする。
女主人が、ちょうど出来上がったばかりの薬菓(ヤックァ)を手に厨房から出てきた。店頭に並べられた韓国伝統菓子は、すべて女主人の手作りだそうだ。
残暑が厳しい時期だったので、冷たい五味子(オミジャ)エイドとケカンジョンという伝統菓子をいただいた。ちょうどこの頃収穫の時期を迎えた五味子は、産地の慶尚北道・聞慶(ムンギョン)で収穫した実を現地で砂糖漬けにしてから送ってもらっているそうだ。甘さ控えめで、五味子の酸味とフレッシュさが活きておりとても美味しかった。ケカンジョンは、水飴で固めた白と黒のゴマが最中の皮にびっしりと詰められていて、芳しい香りとサクッとした食感を楽しめた。
韓国語で「マル」と呼ばれる縁側に置かれた味のあるテーブルと座布団。一人用のこの席から中庭に咲く四季の花を眺めながら、ゆっくりと時間の移ろいを楽しむのもいい。